纏足(てんそく) 馮 驥才(ふうきさい) 小学館文庫
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満足度
お薦め度
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あらすじ
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類まれなる「金蓮」(見事に小さな足のこと)を持つ美少女 「戈香蓮(かこうれん)」は、貧しい家の娘でありながら、その「金蓮」ゆえに名家に嫁ぐ。しかし、そこで繰り広げられたものは、「纏足」をめぐる醜い争いと、数奇な運命だった。
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感想
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「縛って!!もっと強く!!」と叫ぶ少女。ちょっと危ないですな。
纏足って、ご存知と思うけど1000年以上も続いた中国の習慣で、女性の足は小さいほどいいということで、まだまだ成長しきらない4〜5歳のうちから足を縛って、成長を止めるのだ。
結果「三寸金蓮」と言って、三寸=約9センチ。これが大人の女性の足のサイズで、4寸ともなるともう、大足なんである。(わたしなんかどうなるの?)
これは後宮の風習で、女官たちを拘束する意味合いと、男たちの性的玩具としての意味合いやら、いろいろと理由はあるらしい。が、足が大きいとそれだけで嫁ぎ先もなく、嫁いだとしても婚家でむちゃくちゃいびられたらしい。
「なんてかわいそうな」と、当時の女性に同情を禁じえないんだけど、当の本人たちはそれを幸せと信じて自ら望んで纏足に励むのだ。
主人公香蓮も、初めて足を縛ったときはその激痛にもだえ苦しむのだけど、それが自分の幸福につながると知っては、誰にも負けない「小足」を目指して「もっと強く縛って!誰よりも強く!」と野望に燃えて足を縛るのである。その結果、香蓮の名は「金蓮」として、天津で知らぬものはないほど轟きわたる。
しかし、時は残酷。西洋の新風が吹き抜けると、纏足は前時代的な悪習として「負け組み」に成り下がる。
その対極「自然足の会」の会長は誰か・・。
纏足に生き纏足そのものの人生を送った香蓮の人生に、いつも時代も女は男の目を気にして生きているのではないだろうかと、哀れを感じつつ、逆に天晴れも感じるのだった。
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