2002年の読書記録



ミザリー   S・キング   文春文庫
満足度 ★★★★★ この2倍くらいメッチャ満足!
あらすじ 交通事故を起こした人気作家ポールを助けたのは「ナンバーワンの愛読者」アニーだった。 助けられたと思いきやこの時から作家ポールの想像を絶する恐怖と苦痛の日々が始まったのだ。
感想 まずこれも数年前にビデオを見た。
ビデオでも充分怖かったのだが、原作がこれほど怖いとは思いもしなかった!
まず、この作品キングの私が読んだほかの作品と違い、入り込みやすい。
難解な独特の文章が冒頭に少ないために(それとも多少なりとも慣れたか?) ストーリーがす〜ッと入ってきて、瞬く間に先を急ぎたくなるのだ。
登場人物はほぼ二人。閉ざされた空間の中なのにどうしてこんなに次から次へと恐怖の種が生まれるのか・・・。
ビデオの時もモチロンドキドキハラハラ(なんか手に汗握るってまさにこういうことだという感じ) しながら見たのだが、原作はその3倍はドキドキすると言わせていただきたい!
しかも、最後の最後まで気が抜けない締めくくりとなっており、こんなに面白い一冊はほかにないのではなかろうか?
とにかくムッチャ満足の1冊であった。
読んでよかった(*^。^*)
お薦めくださった方々に心からのお礼を・・・m(._.)m ペコッ
お薦め度 ★★★★★ 特に映画作品の「ミザリー」がお好きな方、ぜひ原作をご一読あれ!!





ペット・セマタリー  S・キング  文春文庫
満足度 ★★★★
あらすじ 最愛の家族がもしも死んだら、だれしももう一度チャンスが欲しいと思うのではないか?
復活する術を知っていたらそれを実行したいと思うのはごく自然な事ではないだろうか?
家族を失った男が深い悲しみの中であえぐ、その様子はひたすら涙を誘う。
ホラーと言う一点を除けば ただただ感動の物語である。
感想 正直言って、文体に癖があるので読みづらいのだけど、物語が佳境に入る頃にはすっかりはまっていた。
まず最初の死人からいわくありげでその死に様から死の間際に主人公と交わす会話など、とにかくゾクゾクッとくるのだ。
次にでてくる死は飼い猫。そして 近所のおばあさん。
続々とでてくる「死」のひとつひとつが物語を闇へ闇へと導いていく。
とくに主人公の妻が、子どもの頃に死んだ姉のゼルダ。これは直接物語には関係ないのに異様に怖い。
この怖さがキングならではのものだと言う気がした。

下巻にはいると伏線のとおり愛息子が死んでしまう。それからこの主人公の苦悩が始まるのだけど、息子を失った喪失感、自責、後悔、罪悪感の中でのた打ち回る主人公の様子がとてもリアルに描かれていると思う。
その中で何かに取り付かれたように一つの行動に向かって突き進んでいく様は常軌を逸しているのだが説得力がある。恐怖の中でその説得力が読者を泣かせる。

以下ネタばれにつき反転してお読みください
ラスト、性懲りもなく同じことを繰り返す主人公。でも、「こんどこそ」と思う気持ち。たとえ何物かに操られているとしても、その気持ちは愛情からのものではないか?私は恐怖よりも切ないまでの愛を感じた。家族への深い愛情と涙と恐怖の融合。それが本書だ。
お薦め度 ★★★★