2002年の読書記録*5月



ビート・キッズ 2   風野 潮  講談社
満足度 ★★★★★
あらすじ ビートキッズのエイジが高校生になってからの物語。
高校でバンド組んでるんだけど、なかなか平穏には暮らせない・・というか、事件(できごと)に飛び込んでいくんだね。
今回も気持ちのいい仲間がエイジにはいる。
なんと、彼女らしき女の子も・・・。
ダメオヤジだけど憎めない父ちゃんも、その存在感をアピールしてくれる。
深刻な問題が持ち上がりながらも、ドラムへの気持ちは変わらず持ちつづける事ができるのか?
一回り大きくなったエイジに注目♪
感想 またまた、気持ちのよい読後感でいっぱい!
作者の風野さん、肩書きを見ると「ええかげんな専業主婦(二児の子持ち)」とか。
だからこそ、こんなにも私たち「主婦」の心をつかむお話しが書けるのではないだろうか。
主婦は何かに向かって一生懸命な、少年たちがダイスキなのだ!(私だけじゃないはず!)
エイジが「ドラムが好きー!音楽が好きー!!」って言うのと同じくらい作者の「エイジたちが好き!!」って言う気持ちが伝わってくる。
まともに面と向かって言ってしまうと臭くって恥ずかしい「夢を持とうよ!」って言う言葉が、この本の中にぎゅっと詰まっていて、読み手にストレートに伝わってくる。
そして私たち大人には「自分だけの思い込みの物差しは捨てましょう」と、伝えている気がした。
ぜひとも続きが読みたいけど、エイジたちは今もどこかでビートをたたき付けてる!って思うのも、また楽し♪

全編(1も2も)エイジの大阪弁でのひとり語と言う独特さも、むっちゃええ感じ♪(にわかに使ってみたりして)
お薦め度 ★★★★★





ビート・キッズ   風野 潮  講談社
満足度 ★★★★★
あらすじ ある日、ふとしたことから吹奏楽部に入部する事になったエイジは中学2年生。病弱で少女のような母親とノンダクレで、だけど愛情深い父親と3人暮らし。頼りない父親の代わりに一家の大黒柱のような存在だ。だけど、ゼンゼン暗くない。どっちかと言うとノーテンキで明るい少年。
エイジが吹奏楽で出会うのは成績優秀で超美形!そして、天才的な音楽の才能を持つ七生と、そして溢れるばかりの「ドラム」への愛情だった。
感想 むちゃくちゃかわいくって気持ちのよい少年たちのお話!
音楽の「お」の字も知らなかったエイジが、ドラムの魅力にのめりこんで行く。
その中で出来上がっていく七生との関係。
そして、家族との関係。
内容は深くて重い部分もある。でも、ゼンゼン感じさせないのは主人公エイジの底抜けの明るさ。そして全編に溢れるビートが心に響いて、まるで音楽が聞こえるような感じ!
エイジがドラムをたたくと、振動が伝わってきて鳥肌が立ちそう!
読めばきっと、この子達が好きになる。マチガイナイ(*^_^*)
お薦め度 ★★★★★





つきのふね  森絵都  講談社
満足度 ★★★★
あらすじ 仲良し3人グループだったはずのさくら(あたし)と、梨利と勝田君。 ノストラダムスの予言が間近な今日この頃、3人の仲もおかしい。 ある事件をきっかけに仲たがいしてしまった(ように見える)あたしと梨利を、なんとか仲直りさせようと活躍するが、なんかどこかボケてる勝田くん。 謎の青年 智は、誰かからの使命をうけて宇宙船をデザインしている。 みんなの思いはどこへ行くんだろう。
感想 思春期の「どんな大人になるんだろう」という不安、ノストラダムスの予言を信じて見たり(信じる振りしてみたり)しながら、大人と子供の中間点でおぼれそうな不安定な気持ち。
誰でも一度は経験しているそんな気持ちを思い出させてくれる物語。
人の心は壊れやすいもの、誰もが危ういものをこころに抱えて生きている。
だけど、誰もがそれを克服していく強さ・力も同時に持っているはず。
立ち直る力はきっと、ある!!!
森さん、やはり心にぐっと迫る言葉で泣かせてくれます。
お薦め度 ★★★★





オンリー・チャイルド  ジャック・ケッチャム  扶桑社ミステリー
満足度 ★★★
あらすじ 離婚暦のあるリディアは、妹の結婚式でアーサーに出会い、二人は結婚する。 しかし、アーサーには母親から虐待されて育ったという過去があり、それはリディアにとって結婚生活を続ける上で深刻な影響をもつものだった。
感想 サラっと、ストーリーを言うと、DV(ドメスティック・バイオレンス)の話だ。
と言っても、それだけではないのはケッチャム氏の作風!
DVにしても、対象となるのが「妻」だけではなく「子供(実の子)」までもが被害を被るので、そこに我が子を守るために立ち上がる「強い母親」の像が見ものとなる。
男の執念と、母の子を守る愛との勝負。
当然「母の愛」が勝つと思って読んでいても、なんだか雲行きが怪しくなったり、読者を引き込む法廷劇があったり、飽きさせず最後まで一気に進む。
ところが、ヒューマンドラマとは違う!この作者の描くものは!
ラストでゾクッとする感覚は、「ホラー好き」の好むところだろう。やりきれなさも含めて。こういうオチが、作者らしいのかもしれない。
お薦め度 ★★★





隣の家の少女  ジャック・ケッチャム  扶桑社ミステリー
満足度 ★★★
あらすじ 12歳の語り手の隣の家に越してきたのは、美少女メグとその妹スーザン。
引き取ったルースは、少女に監禁折檻悪逆非道の限りを尽くす。
感想 とっても残酷な話だったけど、海外物という事もあってか、現実感薄く、「創作」として読めたと思う。ルースという女性が少女たちをいたぶる様は鬼気迫っており、読み応えがあったが、なぜ?どうして?という部分で、もう少しわかりやすかったらよかった。何か理由があるはず。それがもっと掘り下げてあれば・・・。
お薦め度 ★・・・ちょっと残酷すぎるね?





ロウフィールド館の惨劇  ルース・レンデル  角川文庫
満足度 ★★★★
あらすじ ユーニス・パーチマンがカヴァデイル一家を殺したのは読み書きが出来なかったからである―――
という冒頭の文章のとおり、1人の文盲の女性が、家政婦として雇われていた一家を惨殺するまでのことの成り行きを描いた物語。
感想 冒頭から何が誰の手によって成されるかがはっきりと描いてあるのに、何がどうなるの?という好奇心があおられる。
文盲だからって、なんで殺人を犯さんならんねん!!文盲の人に失礼じゃないのか!?と、まずは思う。
ところが読み進んでいくと、犯人はただ字が読めないだけじゃない「パラノイア」なのだ。
本書では「犯人ユーニスが文盲ゆえに犯行に至った」経緯と言うのは、少しも無理がなく説得力ありあり!。
だんだんと「そのとき」が近づいてくるのを、作者もわれわれ読者を煽るように描いているのでますます目が離せなっていくのだ。かなり一気に読めてしまった!
パラノイアの家政婦としては「ゆりかごを揺らす手」とか「ガーディアン」など・・・そしてやはり「ミザリー」も髣髴とさせる。
ひとつの家の中で・・・と言う設定が妙に身近でリアルなカンジでコワイ!!!
お薦め度 ★★★★





リプレイ  ケン・グリムウッド   新潮文庫
満足度 ★★★★★
あらすじ 主人公は43歳で死んだが、気が付くと学生の時に戻っていた。そしてまた43歳がくると、死んでしまう。その繰り返しの中で主人公が得たものは?
感想 タイムトリップ物・・・と呼べるよね。
気が付くと若い自分に戻っているなんて、かなりうらやましい話しでは?
誰しもやり直したい過去、取り消したい過去の一つや二つはあるだろうから・・・。
だけどそんな機会を手に入れた主人公は、果たして幸せなのだろうか。
とりあえず誰でも考えるのは、自分が知っている「未来」を利用したお金儲けでは?
この主人公もご多分に漏れず、一財産を築きあげる。でも、もうその時点で、自分が経験してきた「未来」とは違う「未来」の中にいることになるのだ。
主人公も実際、かなり記憶とは違う人生を歩む事になる。
一つでも歯車が変われば、歴史も変わるのではないかな・・なんて、タイムパラドックス?とかのことも考えると、ややこしくってたまらない。
でも、何度も「リプレイ」する事で、いろんなタイプの「未来」を経験していく中での主人公の達観ぶりというか、成長と言うか、それが見ものだった。
まったく予期しない方向に話が進んでいって、ラストはかなりの感動だった。
そう来るか!ってカンジ。ふぅ〜〜・・・。(笑)
お薦め度 ★★★★





恐怖の誕生パーティー  ウィリアム・カッツ  新潮文庫
満足度 ★★★★★ 
あらすじ 夫の40回目の誕生パーティーを盛大に祝おうとした妻は、パーティーの準備を進めるうちに夫の過去が曖昧だと言う事に気づいていく。パーティーの日、12月5日。それに含められた重大な意味は?
感想 物語の中に、一切グロい殺人や描写(ほんの一部を除いては)は出てこない。なのに怖い!
ひたすら物語りは夫の誕生パーティーに向かって着々と進行していく。その中で徐々に解き明かされていく過去。それが憎いばかりの小出しなので、どんどん次を急ぎたくなるのだ。
夫の過去が今信じているものとはまったく違うとしたら、人はどんな反応を示すだろうか?
待っているものがたとえ「破滅」だとしても、それを知りつつ手探りで突き進んで行かなくてはならないと言う、異常な状態における妻の心理描写が見事に描かれている。
次がどうなるのか、知りたくて知りたくてたまらない気持ちにさせられる・・・そんな物語。
ラストまで読んでね。ラストまで・・・・・。
お薦め度 ★★★★★





満足度 ★★★★
あらすじ
感想
お薦め度 ★★★★