ルパン ★★★
監督: ジャン=ポール・サロメ
出演: ロマン・デュリス クリスティン・スコット・トーマス パスカル・グレゴリー エヴァ・グリーン ロバン・ルヌーチ マチュー・カリエール フィリップ・ルメール


モーリス・ルブランのアルセーヌ・ルパンシリーズ、その「カリオストロ伯爵夫人」をベースに「怪盗紳士ルパン」で色付けした作品(かな)。
正直言って、ルパンのイメージが違いすぎました。 わたしにとって憧れのルパンはもっと大人の紳士です。「カリオストロ伯爵夫人」の中のルパンはあまりに若くオンナに振り回される部分もあり、その点往年のファンとしてはかなり不満です。 本で読んだ時は「こう言う時期もあったのね」というほほえましさがあったのですが、映画化するにあたりどうしてこの「カリオストロ伯爵夫人」をベースにしたんだろう?もっとカッコよいルパンが見られる作品は他にもあるのに・・・。「813の謎」とか「奇岩城」とか「緑の目の少女」とか、その辺の有名どころを映画化してくれたらよかったと思います。
また、俳優もルパンにはとても不釣合い。肩幅が狭く華奢で小柄。なぜ彼をルパンに?わたしの中のルパンはもっと逞しい感じ。着やせするので洋服を着ているときはそれほど「ごつい」イメージはなくても「脱いだらすごいんです」系の。そして知的、スマートでユーモアを理解し、優しく包容力があり、どんな女性もたちどころに魅了されてしまうような渋い魅力を持つ・・・それがルパンではないでしょうか?この俳優にそこまで魅力があるとはいえないと思うのですがいかがでしょうか。
物語は、ルパンそのものに思い入れがなかったら面白いかもしれませんが、ちょっと長すぎるね。132分は長すぎ。眠気に襲われてしまいました。 辛口でしたが、子どものころルパンに恋焦がれた身としては納得できる作品ではなかったと言う事でご容赦を(^^ゞ
ナイト・ミュージアム ★★★★
監督 ショーン・レヴィ
出演 ベン・スティラー 、カーラ・グギーノ 、ディック・ヴァン・ダイク 、ミッキー・ルーニー 、ビル・コッブス 、ジェイク・チェリー


試写会で6年生の娘を連れて見に行きました。試写会自体が吹き替え版だったので、場内子どもが沢山でしたね。

さて、映画は、中身も深みも全然ないです。かなり薄っぺらい内容です。子ども向けと言う点ではディズニーの「カーズ」「トイズトーリー」「モンスターズインク」辺りのほうが感動できるし上質の内容だと思う。見終えた後に何が残るかと言うと、迫力ある映像だけ。
だけど、それほど期待しないで見ればものすっっごく楽しい映画ではあります。子供向けの映画だけれど、手抜きせずにお金をかけて丁寧に作ってあると思うのでその点すごく好感が持てました。
主人公のベン・ステーラー演じるラリーは、ダメな父親で仕事を転々として生活力がないゆえに妻から離婚されています。挙句の果てに、生活が安定するまで子どもを預けられないと宣告される。一念発起して「自然史博物館」の夜警に職を得るのですが、その「自然史博物館」にはとんでもない秘密があった。その秘密とは、展示物たちが夜な夜な動き回ると言うとんでもないもの。 初日は戸惑うばかりのラリーですが、ルーズベルト大統領の助言もあり二日目には色々と対策を練って参上するのですが・・・。

ダメな父親がこの難局に立ち向かう事で自信を取り戻し、息子との関係を立て直してゆく、という単純なストーリーなので、ともかく何も考えずに楽しみたい映画であります。
出演者もノンクレジットでオーウェン・ウィルソンが登場したのには笑えたし、「メリー・ポピンズ」「チキチキバンバン」のディック・ヴァン・ダイクが登場して、最後には例のダンスを見せてくれたのですごく嬉しかったです。娘なんか、登場のシーンから「あ、バートンだ。バートンだ!!」と喜んだけど(悪役だったので後にショックを受けていました(笑))。ロビン・ウィリアムズはまぁ期待通りって言う感じで。

ともかく、子どもにはすごく楽しめる映画だと思うので、是非とも親子で楽しんで欲しい作品です。
ナイロビの蜂 ★★★★★
監督 フェルナンド・メイレレス
出演 レイフ・ファインズ 、レイチェル・ワイズ 、ユベール・クンデ 、ダニー・ヒューストン 、ビル・ナイ 、ピート・ポスルスウェイト


わたしはいま、すごく残念なキモチでいっぱいです。 この映画は何であんな予告CMをしたの? あの宣伝から読み取れたのは「夫婦愛」がテーマだということでは? 違うじゃないの!確かに夫婦愛もテーマの一つでした。しかもすごく感動的な。
でも、この物語は非常に重厚で見ごたえのある社会派サスペンスではないか!わたしたちの文化的で安穏とした生活の基盤には、いったい何があるのか、頭を棍棒で殴られたようなショック、打ちのめされるようなショックと同時に感動を覚える社会派サスペンスでした。 たしかに夫婦愛もテーマの一つであるけど、それよりも「社会派」であると言う点を強調して欲しかった。
とは言え、夫婦愛、社会派、サスペンス、そのどれも中途半端にならずきちんと描ききれていて、人種差別にしろ紛争にしろ戦争にしろ、どこかよその話でしかなかった社会派ドラマよりも、より自分に身近な問題として心に響きました。
是非とも多くの人にオススメしたい映画の一つです。

妻の突然の死から、彼女の足跡をたどり、その行動の謎を追う夫がやがて知った真実とは・・・。

では、ネタバレで感想を。 以下ネタバレ含みますので念のため反転してご覧下さい。
皮肉な事に、テッサが死んでそこで初めてテッサと心から通じ合う事ができたジャスティン。妻の死によってしか結ばれ得なかった本当の愛情。それが切なくて泣かせます。 どうしてテッサはジャスティンに、レポートの事を打ち明けなかったんだろう。「巻き込みたくなかった」その気持ちももちろん分かる。でも、やはり打ち明けられていなかった事にジャスティンは傷ついたと思う。テッサのいとこの家でテッサから送られた映像を見て、それまで疑問に思っていたテッサの愛を、今更ながら痛感する場面には泣かされた。 妻の本当の気持ちを知らなかったジャスティンですが、新薬の開発者である医師を訪ねた先で盗賊団に出会います。これが酷い!こう言うのが今でもあるのかアフリカには。こんな理不尽な「災害」が他にあろうかと思うほど。
その盗賊団から逃れるために自分たちは飛行機で助けられるのだけど、現地の子どもは一人たりとも飛行機には乗せられないと、パイロットに言われます。今現在目の前にいるただ一人の子ども、幼い命、すがるように自分を見ているその子どもを救えない悔しさがジャスティンを襲うのだけど、そのパイロットが言った言葉はかつて自分が妻に突きつけた言葉と同じなのです。やっと妻の気持ちがわかるジャスティン。飛行機のそばを、残酷な盗賊団から逃げてただ走るしかない子どもの姿は、涙、なみだでした。
やがてジャスティンは事の真相をテッサのいとこに託して、結局テッサと同じ連中に命を奪われる。でもそれはジャスティンが望んだ結末。「テッサが僕の家」と言う言葉にはこんなわたしもやはり感動して泣けた。

ちなみに、この物語帚木蓬生さんの「アフリカの蹄」を思い出しました。これに感動したら是非ともご一読を。
ブラッド・ダイヤモンド ★★★★★

監督 エドワード・ズウィック
出演 レオナルド・ディカプリオ 、ジェニファー・コネリー 、ジャイモン・フンスー 、マイケル・シーン 、アーノルド・ヴォスルー 、カギソ・クイパーズ


昨日、「ナイロビの蜂」の感想を書き「打ちのめされた」わたしですが、今日またこの映画に打ちのめされました。 打ちのめされやすいオンナでごめんなさい。 でも、大画面で見る迫力もあってか、すごくよかった。

ダイヤモンドがこんなにも恐ろしい背景のなかでわたしたちの目の前にあるとは・・・。すべてのダイヤがそうではないでしょうが、やはりダイヤ自体を忌まわしく思ってしまったし、ダイヤのきらめきとは逆に人間の欲望のなんと汚れきっていることか・・・。
豊かな文明を享受するわたしたちの生活はいったい何を基盤に存在するのか・・・やはり「ナイロビの蜂」と同じように考えてしまった。 泣けてくる、胸が痛む、でもわたしがそう感じたところでいったい何がどうなる?「先進国にのうのうと暮らしている事が恥ずかしくなる」なーんて言ってみたって、今の生活を捨てるつもりなんてさらさら無いくせに、それどころか日々の生活を当然のように思い愚痴すら言うくせに。そんなわたしに何を言える?
なんて、ね。
そう思いながら見ていたけど、申し訳ないことにそのうちにレオくんのカッコよさに釣り込まれてしまったわたし、なんちゅう凡夫、なんちゅう浅はか。でも、ソロモンと行動する事で変わってゆくアーチャー(レオくんの役名)に感動で涙、なみだ!!だったのです。
最後はまたしても打ちのめされ、床に体を突っ伏して泣きたいぐらいでした。でもこれはひょっとしたらレオくんだったから、そしてわたしがレオくんを好きだからかもね。
そもそも、この映画を見たいと思ったのだってレオくんが出てるからだし。他の役者だったらレンタル待ちかな?
とは言え、ラストはやっぱり欲目なしに見ても感動的だと思う!!!
それにしても、レオくんはやっぱりいい〜〜♪今回多少太めではありましたが(腹が・・・)いいの、いいのよ。
「ディパーテッド」のときも良かったけど、今回のほうがもっと良い! なんでこの作品がオスカーとらんかったか。政治的配慮か?作品内容としては断然「ディパーテッド」よりも良いぞ。
レオの事ばかり書きかましたが、ソロモン役の俳優さんもジェニファーコネリーも良かったです。特にソロモン。家族のために命がけで行動する姿にはこれまた涙、なみだ。
こう言うの「アフリカン・サスペンス」って言う総称があるらしい。また探してみよう。。。でも今は「アーチャー」に浸っていたいですね。
蟲師 ★★☆
監督 大友克洋
出演 オダギリジョー 、江角マキコ 、大森南朋 、蒼井優 、りりィ 、李麗仙

「蟲」あるいは「みどりもの」 命の原生体に近い不思議な存在と、その「蟲」と「ヒト」をつなぐ「蟲師」のギンコ。 蟲に侵されたヒトを救いながらの旅の途中で出会った虹郎(こうろう)は、不思議な虹を探して旅をしていた。 その虹は「虹蛇(こうだ)」と言い、ありかを探す手がかりをもとめ、ギンコは痰幽の元へ行く。が、そこでギンコがみたのは、壮絶な痛みに悶える痰幽の姿だった・・・。

大人気コミック「蟲師」の映画化作品です。 原作マンガのご紹介はこちらに。
原作で言うと1巻の「柔らかい角」2巻の「筆の海」と「雨が来る虹が立つ」3巻の「眇の魚」を主として作られたようですね。
原作を読んでいないと話がわからないと言う意見もありますが、原作を読んでいるわたしは、原作との違いに突っ込みたい部分がたくさんあってちょっとダメでした。
ギンコ役のオダギリジョーや痰幽役の蒼井優さんは結構ハマっていたかなと思うけど、もっとハマってたのが痰幽の傍付きの“たま”の李麗仙ですね。虹郎なんかも原作と違ったコミカルなキャラで好感が持てたかな。唯一印象に残っているのが、虹郎とギンコの別れのシーン。それは良かったと思うけどその後が無駄に長すぎた。
最後はどうやって終わったんだっけ?見たばかりなのに思い出せないぐらいですわ。たしか、「え?これで終わり?」っていう感じだったな。いや、長いので早く終わってよかったんだけど。
ともかく、「蟲師」と言えばアニメの素晴らしさが群を抜いているので、どうしてもアニメと比べれば見劣りはなはだしいです。 音楽も印象に残らなかったし。
突っ込みはわたしのマンガのブログ「なれのはて」で。 ネタバレですのでご注意願います。
ブレイブストーリー ★★★☆
監督 千明孝一
出演 松たか子 、大泉洋 、常盤貴子 、ウエンツ瑛士 、今井美樹 、田中好子


わたしは最近特に多いのだけど、邦画アニメで声の吹き替えに声優を使わず、有名どころの俳優や話題の俳優を使うのがとってもキライです。ジブリもモチロンその点においてはイヤ。 この映画も、その点で見るのをためらっていました。 でも、ウチの娘はゲーマーなので見るというので、一緒についでに別のことをしながら見ていたのですが、これが思ったよりもかなり良かったです。

主人公のワタルは親の離婚と言う危機に瀕しています。その上母親までが心労で倒れてしまう。不思議な転校生に偶然見せられた不思議な扉。その扉の向こうにある世界では願い事がひとつだけかなうと言う。ワタルは自分の両親が離婚しないように、母親がそれで元気になるように、願いをこめてその不思議な世界に入ります。その世界でワタルがであった人々、冒険の物語。

まったくロールプレイングのゲームをしているように物語が進みます。最初はそれほど面白みも感じなかったのだけど、それぞれのキャラも案外声が合っていたし(ヘタでしたが)だんだんと引き込まれてゆきました。
何よりもよかったのはメッセージ。この物語が放つメッセージは、見ているとだんだんと予想がついてくるんだけど、その結論を導くにはかなりのパワーがいります。
ワタルが最後に出した結論はちょっと涙が出ました。
ただ、ところどころあまりにもジブリ作品と似ていて、随所に「これはあの映画のあの場面とそっくり」とか「このキャラはあの映画のあの登場人物(というか、猫?)にそっくり」などと、雑念が絶えず。 それと、トカゲ役の大泉洋さんはかなり上手かったけれど、わたしはあの役はやっぱり山ちゃんこと山寺宏一さんにして欲しかった。絶対に物語がもっと楽しくなったはず。主役の声も好きじゃない。
褒めてるのかけなしているのか分からんけども、見て損はないと思います。なんたって作者は宮部みゆきさん。どの作品からも優しい前向きなメッセージが読み取れる(のが多い)から間違いないですね。 ただ、長い。もうちょっと短く出来なかったかな?
SAW III ★★★
監督 ダーレン・リン・バウズマン
出演 トビン・ベル 、ショウニー・スミス 、アンガス・マクファーデン 、バハー・スーメク 、ディナ・メイヤー 、J・ラローズ


2を見たとき3はもう見ない、と思ったんだけど結局やっぱり見てしまった。2よりはまだ面白かったかも。 だんだん残酷度が増してゆきますね。どこまで行くんだろう。 シリーズ3作品、このテンションを維持したのは結構すごいと思う。

今回はジグゾウに囚われた女医がメインのターゲット。しかし、ターゲットはもう一人いて、その男がゲームをする間重篤な状態のジグゾウを生きながらえさせることが女医の使命。女医はそこでアマンダとジグゾウの主従関係などを目の当たりにしつつ、ジグゾウの脳の圧迫を取り去るために頭蓋を取る手術をしたり、殺害シーン以外でもエグイ場面があってその筋の人には楽しめます。
このターゲットになってゲームをしている男性と女医の関係が明らかになる部分など、意表をつかれて驚きました。

でも、4は見ないと思う。あるのか?4も・・・。ジグゾウ死んだんでしょ?普通の人はこう言うのは見てはいけません。
プラダを着た悪魔 ★★★
監督 デヴィッド・フランケル
出演 メリル・ストリープ 、アン・ハサウェイ 、エミリー・ブラント 、スタンリー・トゥッチ 、エイドリアン・グレニアー 、トレイシー・トムズ


ジャーナリストになる夢を持ち田舎からNYに出てきたアンディ。巷でカリスマ的存在のファッション雑誌の「ランウェイ」に就職する事になる。そこではミランダという「悪魔」のように恐ろしい上司がいて、中々認めてもらえず途方に暮れるアンディだが、徐々に才覚を発揮しそして女性としても磨かれてゆく・・・。

ちょっと「マイフェア・レディ」キャリア版、みたいな感じかな〜。 ダサくて太目と馬鹿にされているアンディですが、わたしから見れば綺麗だしスタイルもいい。どこがダサいんだろう、ブルーでもセルリアンでもダサいセーターも着る人がよければカッコよいね、と思ったけど、それは思ってはいけないのですね。
ジャーナリスト志望の女の子がファッション雑誌に就職して、その場所になじもうと躍起になっているうちに道を見失っている事に気づく、と言うその部分・・・彼女の「夢がかなうのかどうか」がクローズアップされるよりも、ミランダの下で「綺麗になって垢抜けてゆく」ことばかりが強調されていたのじゃないかと思う。ファッションに興味のないわたしが見たから、かもしれないけどそれほど心ときめく内容ではなかった。
恋愛と上昇志向が相容れないって言うのもなんだか寂しい。仕事優先でも良いじゃないか。彼氏はそこんとこ理解して寛大な所を見せて欲しかったな。でも彼氏が全然いい男じゃないので、どうでも良いと思われたし、ナンパなジャーナリストの男にしてもにやけすぎで気持ち悪かったし。そんなミエミエの男に引っかかるな〜!!と思った。
ミランダを演じたメリル・ストリープはわたしが褒める必要もないだろうと思うのでカット。ただもっと彼女方面の物語を掘り下げて見たかった気もする。別の物語になってしまうけど。
そのほかに良かったのは、ランウェイのスキンヘッドの同僚かな。あと「エミリー」嫌なやつの感じがよく出ていて好演と思った。あと、無駄にベッドシーンとかがなかったのがすごく好感が持てた。子どもと一緒に見たので、これ大事なのです(笑)。

ハリー・ポッターの新刊、そんな風に一般人が先に読むって言う事あるの?倫理上どうなんですか? それと、ダイヤモンドは、アフリカの現地の何人の命を吸って…とか、毛皮のコート一つ作るのに幾匹の動物の命を奪っているのか…とか、考え出したらこの手の映画は楽しめないかな。
エド・ウッド ★★★★
監督 ティム・バートン
出演 ジョニー・デップ 、マーティン・ランドー 、サラ・ジェシカ・パーカー 、パトリシア・アークエット 、ジェフリー・ジョーンズ 、G・D・スプラドリン


なんでも「史上最悪の監督」と言う称号をもらった実在の監督なんだそう。それをジョニーが演じるのです。全編白黒映像。実際映画の中でエディがメガホンを取って映画を作るんだけど、その映画がまた本当につまらなさそうだし、映画関係のひとに見せても「冗談だろう」と笑われてるほどの酷い出来。それでも映画に対する意欲や情熱だけは人一倍あるエディの健気さに打たれますが、作中映画作品がつまらないように、この本編も大して面白くなかったと言うのが本音。途中寝てしまいました・・・。正直、よくわからなかった。実際のエド・ウッドの作る映画もきっと訳がわからんものなのかもしれないなぁ。
でも、ジョニーが好きだしバートンが好きだから一度は見たかった作品。見ることが出来て大満足です。
ちなみに「ネバーランド」でも監督の役をやっているので、ちょっとかぶったかな?「エド・ウッド」のほうが断然古い映画ですが。どちらにしても、ジョニーはカッコよかった。女装しても素敵!(笑)白黒なので肌の白さが際立ち、ちょっとウォンカみたいだったけど。 ビル・マーレイが面白い役どころで出ていまして、やっぱりああ言う人が出ると作品が締まるというか華やぎます。
それにしても、作中の俳優や女優たち、殆ど全員実在の人物みたい。とくに元祖怪奇スターとも言うべきベラ・ルゴシ(ドラキュラの役で有名…らしい。)という俳優の最後のひと時が描かれています。この役を演じたマーティン・ランドーはこのルゴシ役で念願のアカデミー助演男優賞を獲得したとの事ですが、それはもう納得の白熱した演技で、この人はベラ・ルゴシその人であろうとおもえるほどでした。「スリーピー・ホロウ」にも出ているみたい。クレジットがないみたいだけど、出ているとしたらきっとあの村の長老たちの誰かですかね。
ロッキー・ザ・ファイナル

監督 シルヴェスター・スタローン
出演 シルヴェスター・スタローン 、バート・ヤング 、アントニオ・ターヴァー 、ジェラルディン・ヒューズ 、マイロ・ヴィンティミリア 、トニー・バートン


オープニング、あのロッキーのテーマが聞こえる中、黒をバックに黄色い大きな「ROCKY BALBOA」の文字が流れるように現れる。 もうそれだけで懐かしさで胸がつまり、涙が溢れて止まらない! 冒頭、めざましで起きるロッキー。妻エイドリアンは写真の中。ああ、エイドリアンはやはり死んだのだ、そう思うとやっぱり涙。 カメに餌をやるロッキー。カメ、まだ生きていたか、当時のままだよと思うとまた涙。 そして、妻のお墓の前でしばし椅子に座っているロッキー、おそらく胸の中では妻への言葉があふれているのだろう、その無言の会話を見ているだけで涙、涙! 「エイドリアンの店」というレストランが繁盛していて、ごく普通の生活の中に、妻との思い出や過去の栄光に縋りつくロッキーが哀れで、これまた涙。妻との思い出の場所をさすらう姿に、またしても涙、涙、涙。 そんな調子で、ずっと泣いていたような・・・・。

分かりきってるストーリー?
先が見える展開?
いけませんか??
それでいいのだ。それでこそロッキーなんだから。
なんで、よぼよぼの老いぼれボクサーが現役チャンピョンと闘うにいたるのか、互角の闘いに持ち込めるのか、そんなこたぁどうでも良いです!闘う姿そのものに、わたしたちは感動する。トレーニングの姿にパワーをもらうんです。
ロッキーはあくまでロッキーでいいのです。
ロッキーばんざい!!
青春をありがとう!!号泣!
・・・っていう感じですね!(笑)
はぁ〜〜〜〜〜泣いた!!満足!!(笑)
ロッキー ★★★★★
監督 ジョン・G・アヴィルドセン
出演 シルヴェスター・スタローン 、タリア・シャイア 、バート・ヤング 、カール・ウェザース 、バージェス・メレディス 、ジョー・スピネル


とうじ無名のシルベスター・スタローンが脚本を持って映画会社に行って売り込んだのは有名な話だけど、今見てもいい映画だと思う。 主人公のただのサクセスストーリーだけじゃなく、そこに人間関係も絡めて、その絡め方も上手いと思う。
普通、スポーツにしろヒューマンにしろ恋愛を織り込むと、気持ちがなえる映画が多いのにこの映画は恋愛あってのロッキーである部分が大きい。
地味でブスなペットショップのねーちゃんに何故惚れるのか、最初は分からないんだけど、エイドリアンが綺麗になって強くなってゆくのが自然に上手く描かれているし、エイドリアンが何が何でも好きなんだ!と言うロッキーが、当時は思わなかったけど今はすごく可愛いと思う。母性本能をくすぐられます。
初キスのときなんて、かなりぐっと来ますね!
あと、マネジャーのミッキー。試合が決まってから手のひらを返したように「手伝う」って言いに来る。それをケンもほろろに追い返す。それがまた本心ではない、本当は手伝ってもらいたい、だけど今さらなんだよ!!と、拗ねているのです。その拗ねてるのが可愛い。「だって、ロッカーが無いんだ」だって!なんてキュートなせりふなんでしょうか!!
結局追い返した後追いかけて(このあたりのやり取りも上手いよねぇ)引き受けてもらうんだけどそのシーンの表現がわたしは大好き。音楽の使い方も上手いんですよね〜。 しょぼくれた夢破れたミッキーがアポロに目を付けられたロッキーに自分の夢を託す気持ちもよく出ててジーンとする。

スタローンはロッキーの役柄の影響が大きく頭悪いイメージだけど、この脚本を書いたって事はすっごく賢い人だということですね。いい脚本だと思う。巧い!!
そしていちばん言いたいことは、見返してみて思うけど、当時はわからなかったロッキーの可愛さ。愛しいほどです。胸キュン!!
それに、ロッキーって優しい!そのことも当時はあんまり意識しなかったな。たとえば借金の取立てと言うヤクザな仕事を任されてて「指の骨折って来い」と言われてもできない。まぁ普通は出来ないでしょうがね。彼の場合見た目ではボキボキ行きそうなのでね。
ポーリーだってすごく迷惑な友達なのに、どうしても捨てて置けないし、ミッキーにだって然り。懐が広いんだよね。 今考えてみると、理想の男かも。 今さらながら惚れ直し・・・。本気です。
これって、自分がトシ取ったからかなと思う。 30年経て還暦のロッキー、トシとったんだなぁと思うけど、自分もしっかり同じように年とったんだと、改めて思い知らされるのです。

サントラ、itunesでポチっと買ってしまいました・・・。 当時無名同士だったスタローンとビル・コンティ、このふたりがココからどれだけ大きくなったかと思うと、やっぱり映画のロッキーに重なるよね!! やっぱり好きだ〜〜。ロッキー!!
サウンド・オブ・サンダー ★☆
監督 ピーター・ハイアムズ
出演 エドワード・バーンズ 、キャサリン・マコーマック 、ベン・キングズレー 、ジェミマ・ルーパー 、デヴィッド・オイェロウォ 、ヴィルフリート・ホーホルディンガー


うーん、近年まれに見る酷いCG映画だったような。大昔の「合成」「はめ込み」っていうのがバレバレの映像が印象的。
物語は、タイムトラベルを金儲けの道具にしているうちに、あることで過去に影響を与えてしまい、それが時間の波となって 現代に影響をもたらすと言うもの。
↓ここからネタバレで。
過去からは何も持ち出さない、過去の何ものも壊さない、すごく些細な事に思えても何万年か経てばそれが現代に大きな影響をもたらすから。と言っていたのに、知らず知らず踏んでしまった蝶々、そのせいで今現代に時間の波が押し寄せ、24時間ごとに激烈に世界が変化していく様子を描いてある映画です。
思うんだけど、毎日のように、過去の同じ場面に遭遇しているんです。Tレックスの死ぬ場面に。では、昨日行ったグループはそこに居ないの?一昨日行ったグループはそこに居ないの?
何故それが気になるかというと、この事象を食い止めるべく、主人公は過去に戻ります。そして自分たちが客を連れて行っていたその時間に、現れ原因となる「蝶々を踏む」場面に行き、蝶々を踏まないように細工するんですが、そのときだけ主人公はそのグループに会えたなんておかしくない?毎日のように同じ時間の同じ場所に行っていたのに、みんなその場所に団子状態にならないんだろうか?
タイムトラベルモノは考え出したら混乱してしまうので困りますね。
デッド・コースター ★★☆
監督 デヴィッド・リチャード・エリス
出演 アリ・ラーター 、A・J・クック 、マイケル・ランデス 、トニー・トッド 、テレンス・“T・C”・カーソン 、ジョナサン・チェリー


キンバリーは友達とキャンプに行く途中で、大きなハイウェイ事故に巻き込まれると言う白日夢を見る。パニックになり車を降り、他の車の流れも止めるキンバリー。だが、奇しくも白昼夢は現実になった。キンバリーやその他数人は難を逃れたが、後日一人ずつ奇怪な事故で命を落としてゆくのだった・・・。

「ファイナル・ディスティネーション」に続く第2作品。と言ってもわたしは第3作の「ファイナル・デッドコースター」から見たので、どっちかと言うと迫力不足を感じた。
死に方のグロさなども「ファイナル・デッドコースター」のほうが楽しめる仕上がりになっている。こう言うものは順を追ってみたほうが良いかもしれない。
ハード・キャンディ ★★★☆
監督 デヴィッド・スレイド
出演 パトリック・ウィルソン 、エレン・ペイジ 、サンドラ・オー 、ジェニファー・ホームズ 、ギルバート・ジョン


「赤頭きんが仕掛ける恐怖のゲーム」と言うジャケットを見なかったもんだから、どっちがワルモノか分からずに見ていたのが良かったかも。
出会い系サイトでチャット重ね、実際に会うことにした二人。少女は男の家にのこのこと付いてゆく。男の部屋には行方不明になった少女の写真が飾ってあったり、あまりにも理路整然としている。
やがて二人はお酒を飲み始め・・・。

最初、少女と中年男の語らいがやたら長く、その部分は飽きてしまう。店での語らいも長いが、家に上がりこんでから「コト」が動き出すまでも長い。その語りの中に、今後の展開のヒントがあるんだけど、そんな語らいよりもさっさと物語を勧めて欲しいと言う感じだった。

が、一旦物語が動き出してからの恐ろしさ!!
チェーンソーや斧や鉈が登場するでもなく、血がドバドバ出るわけでもなく、首が転がったりするわけでも無いのに、やたら怖い!
この恐怖心は断然男女では違うと思うけど、女のわたしが見ていても足元がふわふわするような恐ろしさを感じるものだった。
ぜひとも男性には見ていただき感想を聞かせてもらいものです。(悪趣味か?)助けを求める男の表情がリアルでドキドキドキドキした!!
それ以外の恐怖と言うのは、たとえこの場面を誰かに見られて助けを求めたとしても、多分男は被害者に見られない。現場を押さえられたとしても、多分逮捕されるのは男だったと思う。そのシチュエーションが非常に恐ろしいと思う。

ところで、わたしにはイマイチ本当のことが分からなかったんだけど(ココからは重大なネタバレがありますので、映画を見るつもりの人は決して読まれないようにしてください)「男は結局、アレを切り取られたの?取られて無いのならちょっとがっかりだなぁ。あそこは少女に行動して欲しかったんだけど。『ついてる・・・』と、男が安堵する場面はちょっと『なーんだぁ』と、残念でした。しかし、その後男を自殺に追い込むつもりが最初からあったとして、死体を検分すればアレが切られていると言う事はすぐに分かるので、ただの自殺としては処置されない懸念があったのか。そして、その自殺だけど本当に自殺したの?ロープが長くて下に落ちたのではないの?どさっと言う音がしたから男は助かったのかなと思ったんだけど。そして最大の疑問は、男は本当に『犯人』だったの?別の仲間と共にやったことを認めたけれど、あれは少女の脅迫から助かりたい一心で口からでまかせを言ったのでは?すると少女は、そのでまかせをさも事実で自分も承知のように喋る。そこにまた少女の異常性が伺え男はそこでも絶望したとか、なんだかそんな風に思ったんだけど。もしも男が実際に犯人で、少女がなんらかの復讐をするのならもうちょっと事実を分かりやすく描いてもらいたかったかな、イヤそれでは平凡すぎるのかな。わたしは男がまったくただの被害者で少女が異常者である、と言う設定のほうが面白かったかも・・・。そしたら自分の中では『不条理スリラー』のかなり上位に来たと思うんだけどな。要は『ミザリー』少女版、」って言う感じね。でも、これはちょっと忘れられないシチュエーションスリラーになりそうです!!オススメ!!
ハンニバル・ライジング ★★★
監督 ピーター・ウェーバー
出演 ギャスパー・ウリエル 、コン・リー 、リス・エヴァンス 、ケヴィン・マクキッド 、スティーヴン・ウォーターズ 、リチャード・ブレイク


「羊たちの沈黙」のレクター博士の若き日の姿を描いた作品。なぜカニバリズムのレクター博士が出来上がったか、その原点を紐解いている。
正直言えばレクターの若き日の姿とか、人食いになったわけとかが描かれているにしてはちょっとパンチが足りないと思った。
「ハンニバル」や「レッド・ドラゴン」があまりにも強烈だったし、それに比べて平凡だったと思う。

ただ、若きレクターを演じるギャスパー・ウリエルが非常に美しく堪能できる。
が、まぁわたしのツボとはちょっと違ったのでそれほどの「萌え」もなく。


もっと正直言えば、「ロッキー・ザ・ファイナル」の後ハシゴしてみるほどのもんじゃなかった。それぐらいならもう一度「ロッキー・ザ・ファイナル」を見ても良かったかなと思う。今思い出しても殆ど印象が無い。ちょっと残念。ギャスパーの顔のほかは、コン・リーの繊細な美しさと、「ドレミファソ〜ラファミ、レ、ド、、ソ〜ファミッソファミレ、ソ〜ファミッソファミレ・・・」というY音楽教室のCMで子どもたちが歌ってる歌が記憶に残ってる程度。
スパイダーマン3 ★★☆
監督 サム・ライミ
出演 トビー・マグワイア 、キルステン・ダンスト 、ジェームズ・フランコ 、トーマス・ヘイデン・チャーチ 、トファー・グレイス 、ブライス・ダラス・ハワード


前作から3年経ってるのね。待ちに待ったシリーズ登場!で、ものすごく期待していたんですが、イマイチだったかな。面白かったけど、やっぱり最初の頃のような新鮮さが無いので、空をビュンビュン飛ぶ場面にも 以前のように心躍らない。CGも凄いけど、もう慣れたというか飽きたかな。「スーパーマン・リターンズ」や「ロッキー・ザ・ファイナル」のようにもっともっと何年も経ってからだったら面白く感じたかもしれないけど。

今回は、ニューヨークのカリスマ的存在となり、ちょっぴり慢心を覗かせる(MJのハートも射止め順調だし、そりゃ有頂天になるよね)スパイダーマンがブラックスパイダーマンとなり、悪い心に支配されてしまう、その自分自身の中にある悪と戦いつつ、叔父さんを手にかけた強盗犯とも、そして前作で父親の死をピーターのせいだと思い込んでしまったハリーとも戦わねばなりません。
いったいこの「悪人」「仇」の多さにどう収拾をつけるつもりなのか、と心配になりましたが、その点予想外の展開で面白かったです。「ああ、そうきたか!!」と。
でもそれまでが長い。わたしがトシを取ったせいなのかもしれないけど、堪え性がなくなってきてて、以前は同じ料金なら長い映画のほうがお得♪と思っていたのに、今はもう100分以内にしてお願い!と言う感じです。特に好きな俳優でも無いので、この映画の長さには参ってしまったわ。詰め込みすぎなのもマイナス。なので★★☆。
ロッキー2 ★★★★
今回のロッキー、製作自体は2年後と言う事なのだけど、映画を見てみれば数年後とか数ヵ月後どころではなく、前作「ロッキー」の終了時、その当日その直後からの続きである。 試合シーンがかぶっているぐらいで、まったく1と2のタイムラグ無しと言う設定。 わたしはこれを映画館で見たんだけど、当時高校生。この物語の良さが分かっていたんだろうかと疑問に思う。「ロッキー2」のロッキーは一旦アポロとの試合で善戦したため一躍有名になり、自信をつけてエイドリアンに求婚、そして結婚する。(雪の動物園のシーンは印象的!)ファイトマネーも入り今までの貧乏暮らしを振り切るように贅沢三昧な日々。悪趣味なコートや高級車、はたまた家まで買ってしまう。 だけど、ボクシングも目の怪我が大きかったためと、エイドリアンにも止められたため、出来なくなったロッキーはいまやただの失業者と同じ。たどり着く所は生肉工場の作業員だがそれすらもすぐに止めさせられる。 この前半部分は今見て見ると結構退屈な感じかも。肝心のボクシングをやらずにうだうだ…。家族と言う大きな負担を抱えて、責任を果たそうと奮闘するロッキー、だけど思うように行かず身重のエイドリアンに食い扶持を稼いでもらうと言う自分へのふがいなさに落ち込む、今のわたしの年齢なら共感するところもあるし苦労もわかる。それはそれで気になる展開だし哀愁が漂うロッキーがまた愛しいと思う。でも、当時のわたしにはあんまり分からなかっただろうなーと思うんだけど、わたしの中ではすっごく感動的な映画としてインプットされているのはなぜか。 アポロとの試合をもう一度やる事になり、反対していたエイドリアンは早産で出産の後人事不省に。心痛にあえぐロッキーはボクシングを止めようとすら思うのだが、覚醒したエイドリアンに「お願いがあるの。勝って!」と言われやっと奮起する。この奮起までが長いんだけど、奮起してからはそれまでのフラストレーションを晴らすかのような土塔の展開。スピード、迫力気迫、文句なし! 試合シーンもシリーズ通してコレがいちばん迫力があるんじゃないかな!と思います。 「ロッキー」って言うと黒と黄色のイメージがあって、「ザ・ファイナル」でも黒地に黄色の文字だけど、これは「2」からでした。「ロッキー」は黒地に白文字。あとカメの名前はカフとリンク。
麦の穂をゆらす風 ★★★★☆
監督 ケン・ローチ
出演 キリアン・マーフィ 、ポードリック・ディレーニー 、リーアム・カニンガム 、オーラ・フィッツジェラルド 、メアリー・オリオーダン 、メアリー・マーフィ


タイトルがものすごく優しい感じだし、ミニシアター系のもっとほのぼのとした内容の映画なのかと思ったら、とんでもない、すごく悲惨なアイルランド紛争の一部を克明に描いた問題作で、拷問の場面や処刑シーンなど、正視に堪え難い生々しい恐ろしさのある、そして圧倒的な悲しさを描いた映画でした。美しい風景とは裏腹に描かれているのは、たとえ志が同じでも一つ間違えば肉親や友達でも敵同士になってしまうという、人間の残酷なまでの悲しさでした。

1920年のアイルランド、イギリス軍の暴虐に耐えられないアイルランド人たちは義勇軍IRAを結成、主人公のデミアンは医師としてロンドンの大病院で働くと言う輝かしい未来をふいにして、地元で仲間たちと祖国アイルランドのために立ち上がった・・・。
どの国の紛争も、あまり理解できないわたしです。がアイルランド紛争もかなり悲惨な状態だったと言う事だけは漏れ聞いている。 そんな程度に知識が殆どないわたしにはかなり勉強にもなった作品。
同じように「祖国」を思っているのに袂を分かつしかない仲間たち。どちらか一方だけの視点でもなく、どちらかだけに感情移入するでもない。両方の気持ちが分かるから余計に辛い物語でした。
麦の穂をゆらす風、と言うタイトルは作中にも登場するけどアイルランドの民謡のような歌。旋律が物悲しく、美しい曲で泣かせます。

しかし、イギリス人というと「ブラス」だとか「リトルダンサー」だとか「ハリーポッター」だとか「シャンプー台のむこうに」だとか、愛しい人たちがたくさんいます。でも、国家としてはアイルランドに対してこのように酷い行いをしていたのだと思うとかなり考えさせられるものがある。もちろん、日本にしてもかつてのアジア侵略の事を思わずにいられず、ここに登場するイギリス兵は、当時の日本兵だと思いながら見た。結構きつい。

どうにかならなかったのか、なんとかならなかったのか・・・ともかくそう思えてやりきれなさが残る映画でした。
個人的にはダンがいちばん好きだったな・・・。
エデンの東 ★★★★☆
こないだ、「ロッキー」を久しぶりに見たとき、年とともに映画の感想が変わることを改めて痛感したので、今度はコレを見ました。「エデンの東」。 今の若い人で「好きな俳優は?」と尋ねられて「ジェームズ・ディーン」と答える人はあまりいないと思いますが、わたしの世代では彼の死後20年以上経っていても、「ジェームズ・ディーンのファン」という人が大勢いたのです。(同じく「ブルース・リーのファン」とかも) で、当時は当然レンタルビデオも、家庭用のビデオデッキもなくて(あったかも知れないけど持っている家庭は滅多になかったの)リバイバル上映でもなければ、テレビ放映で見るしかなかった。ご他聞に漏れずわたしもテレビ放映で一度見ただけ。その後レンタルビデオが見られるようになっても、特に借りてみた記憶もない、そんな映画が「エデンの東」以外にも結構あることに気が付いたのです。「シェーン」とか「荒野の用心棒」などの西部劇色々やヒチコック作品とかもそうです。 前置きが長くなったけど、そんなわけで改めて借りてみた。久しぶりのジェームズ・ディーン。画面は古ぼったいし、音楽はジャジャーン!!って言う感じでこれまた古い耳障りだし、どうなんだろう、今見たらがっかりするんじゃないだろうかと思ったら、とんでもないでした。 物語は今更語るまでもないと思うけど、父と子の確執モノですね。 ディーンが演じる主人公キャルには双子の兄アロンがいます。農場を経営する厳格で「善人」の父親の愛情と期待は、出来のよいアロンのほうばかりへ注がれている。またアロンにはアブラという美しい婚約者もいて、乱暴で人嫌いなキャルは誰からも見向きされずに、性格がねじけてしまっています。 家族3人の中で自分だけが「悪人」であることを悩むキャルは、死んだ事になっている母親に会いに行きます。母親はいかがわしい商売をしていて、ろくでなしであり「悪人」である、自分の性格の根源はこの母親にある、父親に嫌われるのも当然だと納得するキャル。 ですが、父親が母親を本当に愛していた事を知って、自分も努力すれば父親の愛情を得る事ができると思い、キャルは変わります。自分から父親の「冷凍キャベツ」の収穫や出荷を手伝ったり、父親に認められようと一生懸命。 物語の軸になるのはこのキャルの孤独、切ないまでの愛情への飢え、父親をなんとか喜ばせようとするいじらしさ、そして隠し持つ優しさ繊細さなどなど。 今この映画を見直してみると、親の立場からも子どもの立場からも色んなことを感じます。自分の価値観でしか息子を見ない父親には、腹立ちも感じるけれど、自分にもそんな部分があるのではないだろうかという居心地の悪さやいたたまれなさを感じます。子どもの立場からは愛して欲しい親から見向きされない悲しさがひしひしと伝わります。 結局、キャルは病気の父親と和解するのだけど、そのシーンは涙があふれて止まりませんでした。キャルの嬉しそうな表情も良いんだけど、ここはなんと言ってもアブラの必死の説得が泣かせます。キャルをいちばん理解しているアブラ、その切々としてた訴えには胸打たれました。 病気の父親の傍にいて看病したいと思うキャルは、実は本当に親を愛している心の美しい青年だったと分かりますね。 しみじみと泣ける映画です。 見直してみて本当によかった〜。
北北西に進路を取れ ★★★☆
ケーリー・グラントとかジェームズ・スチュアートとかちょっと区別がつかないんですが(笑)、これもテレビで見たことはあるけど、忘れていますわ・・・。 ヒッチコックは結構好き。むかしよく教育テレビの名画劇場みたいなのでやっていました。「サイコ」は一人で見てて怖かった。あと「フレンジー」が面白い。「ダイヤルMを廻せ」も好き。「鳥」「めまい」「レベッカ」「マーニー」など見たけどやっぱり名作を見落としていますね。 「北北西に進路を取れ」も今見ても面白いコメディタッチのサスペンスでしたよ。 ++++++++++ 主人公のロジャー・ソーンヒルはやり手の広告マンだったのだけど、あるとき突然「キャプラ」なる人物と間違われて誘拐されてしまう。危うく命を落とすところだったが幸いにも何とか逃げる事ができた。 しかし、誰もソーンヒルの言う事をまともに取り合ってくれず、そのうちになんと殺人犯に仕立てられてしまう。絶体絶命の中で逃げる鉄道列車の中で謎の美女イブと出会う。キャプラと連絡を付けてくれたと言うイブの言葉そのままに、約束の地へいくとそこはただ広い農地があるだけで、誰もいないうえになんと空の上から命を狙われるのだった!! ++++++++++ 命を狙われたり、逃げ惑ったりするのになんとなく悠長なのんびり感、そしてあくまでユーモラス。ウィットにとんだ大人の余裕あるスリラーで見ていて飽きません。最初のほうなど、主人公がお母さんを引っ張り出してきて一緒に「キャプラ」を探しに行くんだけど、お母さんは相手に向かって「本当にうちの息子の命を狙っていらっしゃるの?」なんて堂々と尋ねたりして、美女に出会えば緊迫した中でもデレデレしたりして、でもサスペンス要素はしっかりとしていて、昔の映画のよさがつまってる感じですね。 またラストが凄く印象的で、良い感じ♪ユーモアあふれるロマンティックミステリーとして楽しめました!! おまけ映像も充実していて面白かったです!
裏窓 ★★★
ヒッチコックの代表作ともいえるミステリーです。 足を怪我して家から出られないカメラマンが、窓から見える向かいのアパートの人々の生活を見守るうちに、ある一人の男の不審な行動に目が行く。はたしてその男はいったい何をしたのか? と言う話。 動けないからだ、覗きに熱中するカメラマン。彼女は絶世の美女で自分にぞっこんほれ込んでいる。自分のためなら危険を冒すこともいとわない。向かいのアパートの男は自分の想像通りに罪を犯したのか? アイデアが奇抜でヒッチコックの非才さを余す所なく出してる、とよく言われますが、昨今のドキドキハラハラに比べたら大したことはないと思います。何といっても主人公自身に危険が迫ったりしないので。 要は野次馬が勝手に事件に首を突っ込んでいると言う図式。向かいのアパートの人たちも無防備に窓を開けて行動しすぎです。アメリカではみんなそうなの?また、あちらのアパートから主人公が住むアパートは見えないのか?いつも覗いている主人公を不審者と思う人はいないのか。 ということは全て「見て見ぬ振り」をしていないとこう言うミステリーは楽しめません。 それよりもこの映画はファッションも含めてグレース・ケリーの美しさを堪能したい。まぁ〜〜こ〜〜〜んな綺麗な人が自分にぞっこん参ってると言うのに、主人公ってば結構連れない。信じられないぐらいです。家政婦に「リズと結婚しなさい」と勧められても「いくら貰ったんだい?」などと失礼千万な言葉!こんなことを言う男とは即刻別れてしまえ〜〜〜その美貌ならば他にもっと自分を大事にしてくれる男がいくらでもいるよ、と思ったのですが結構美人薄幸なのかもね(美人の方ゴメンなさい)。ジェームズ・スチュアートも今見てみるとにやけた男だよね。ケーリー・グラントもにやけた感じがするし。ただヒッチコックの映画は女性がゴージャスなのが多いのでつい惚れ惚れしてしまいます。 やっぱミステリーは主人公が危険な目に合わないとあんまり面白くは感じないわたしなのでした。 でもヒッチコックの作品と言う事で一件の価値ありです。昔の美女もたまには見て自分の姿を振り返るきっかけに・・・は、ならないけど。
パイレーツ オブ カリビアン
 ワールド エンド
★★★★☆

監督 ゴア・ヴァービンスキー
音楽 ハンス・ジマー
出演 ジョニー・デップ 、オーランド・ブルーム 、キーラ・ナイトレイ 、ジェフリー・ラッシュ 、ジョナサン・プライス 、ビル・ナイ 、チョウ・ユンファ 、ステラン・スカルスガルド 、ジャック・ダヴェンポート 、トム・ホランダー 、ナオミ・ハリス


“深海の悪霊”、デイヴィ・ジョーンズ(ビル・ナイ)と東インド会社のベケット卿(トム・ホランダー)が手を結び、海賊たちは滅亡の危機に瀕していた。生き残る手段は“9人の海賊たち”を招集することだったが、9人のうちのひとりはあのジャック・スパロウ(ジョニー・デップ)だった。しかし、彼は現在“世界の果て”に囚われていて……。 (シネマトゥデイ)


時々ネタバレ防止に伏字にしています。見たい方はドラッグしてご覧下さい。↓

2回見たのですが、もう一度見に行ってもいいかなと思うぐらいカッコよかった!2週間たった今も興奮は残ってます。
ただ、最初ストーリーが分かりにくいのが難点。結局「東インド会社+デイヴィ・ジョンズvs海賊たち」と言う話なのだけど、そこに行くまでがやたら長いし敵味方が入り乱れてややこしく、一度見ただけではわたしの頭脳では理解できなかったし、一緒に行った子どももポカンとしてしまい、退屈そうにしていました。
しかし後半、佳境に入ってからの展開の見せ方は素晴らしいです。息をもつかせぬド迫力とスピード感、そしてジャックのカッコよさ!特に見所は「ロープ技のジャック」です。「ロープで空中を飛びながら拳銃でデイヴィ・ジョーンズを狙うときのニヤリ笑顔」が最高にカッコイイ!!一瞬なのでお見逃しなく!
今回、3部終わってみればどう考えても「パイレーツ・・・」とは「ウィルの成長物語」と思えてなりません。もちろんエリザベスもそうだけど(とても貴族のお嬢さんには見えなかった)、今回のラストでは「呪われた海賊」の冒頭のウィルからは想像もできない逞しさで「一人勝ち」と言っても過言じゃないぐらい美味しい所を持って行ったね。第二部では全然冴えなかったと思ったけど、この布石だったのかな。
かと言ってジャックの影が薄かったかと言うととんでもない!ストーリーではウィルが持っていってしまい、「呪われた海賊」の時ほどジャックが活躍しなかったのに、それなのに存在感は別格。なので、これ、もしもジャック役がジョニーじゃなかったら絶対にウィルに喰われてたと思う。ジョニーはやっぱりさすがだ〜と思ったしだいです。
そして忘れてはならないのがバルボッサ。「デッドマンズチェスト」の最後に登場した時も、「わ〜…なんか、カッコイイ…」と思ったんだけど、今回めちゃくちゃ活躍していました。特に最後の戦いでキャプテンになったエリザベスに「舵をお願い!」と言われて「頼まれてやろう」だったか?と言う所とか、その後舵を取りながら敵と戦うシーンはすっごくカッコよかった!そしてサルのジャックもね。あまりの大活躍にサルはCGなのじゃないかと思ってるんですがどうでしょう。可愛すぎました(笑)。ただ、そうすると「呪われた海賊」のラストに感じたバルボッサへの悲哀はどうなるの?て言う感じはする。
物語は後半意外な結末を迎え、意表をついてくれました。絶体絶命のピンチに現れたフライングダッチマンには鳥肌が立ったわ。わたしはオーリーファンではないので、さほど結末には感慨がないのだけど、やっぱりある種の感動があった。しかし、何度も言うけど、オーリー美味しいトコ独り占めしすぎ!(笑)
力で奪え!情けは無用!」は大好きな一こまなので最後に見せてくれて嬉しかったです。
ふっと疑問に思ったのは「カリプソとデイヴィ・ジョーンズにはいったい何があったのか?」と言う事。「そういう女なのよ」って一言で済まされてもデイヴィ・ジョーンズじゃなくても納得できないよ。あと、フライングダッチマンが再登場した時に、ケベックが放心してしまったけど撃てばよかったのじゃないの?

しかし、後半の盛り上がりを思うと、思い出しただけでもワクワクしてしまいもう一度見に行きたくなることですよ。
パッチギ! ★★★★
監督 井筒和行
出演 塩谷瞬 、高岡蒼佑 、沢尻エリカ 、楊原京子 、尾上寛之 、真木よう子 、小出恵介 、波岡一喜 、オダギリジョー 、他


テレビ放映を見ました。
舞台は1968年、京都。
朝鮮学校の生徒たちとけんかを繰り返す高校生たちの中に主人公の康介はいます。学校の先生はサッカーの親睦試合をしようと思い立ち、康介に伝令を命じます。そして、その朝鮮学校に乗り込んだ康介はそこで一人の女生徒に一目惚れ。しかし、周囲は在日朝鮮人たちに無理解で。また朝鮮学校の生徒たちにも康介は受け入れられずに…。日朝版ロミオとジュリエット??。

やたらと暴力的な場面が多いのだけど、それが不思議にもイヤじゃない。むしろ暴力によってしか交われない高校生たちの姿に爽やかな気持ちと、そして悲しい気持ちの入り混じった切なさを感じました。殴れ殴れ、できる事はそれだけだ、と言う感じ。
人を好きになることに国境も人種もない、と感じているであろう康介のひたむきさが可愛いです。なんとかして、キョンジャ(沢尻エリカ)の気を引こうとしてギターを練習し、キョンジャの吹くフルートとセッションします。だんだんとキョンジャたちに受け入れられていく康介。 しかし、物語は甘くなく、康介の母親などがキョンジャたちに向ける視線が痛い。「わたしと康介が付き合うとして、そのまま結婚するとして、康介は朝鮮人になれる?」と問いかけるキョンジャの言葉は重い。 どうして、素直に好きな同士が一緒になれない世界を築き上げてしまったのか、胸がふさがれます。
葬式のシーンは圧巻だった。棺おけすら入らない狭い間口の小屋で葬式が営まれる。康介が行くと「お前は帰れ」とののしられます。「われわれがどんな生活をしてきたか、知っているのか」と、責められ康介は打ちのめされる。知らなかったと思う。わたしたちも知らないように、康介も知らないです。でも何が出来るのか。いち高校生にそんなことを言っても…ましてや康介は彼らを差別せずに仲間になった「良識ある」日本人なのに。だからこそ、ギターを壊してまで狂ったように嘆く康介の姿に涙があふれた。
クライマックスの両校の派手なけんかシーンは、バックに流れる「イムジン河」のせいもあり泣けて仕方がなかった。殴るしかないやるせなさ。けんかをする事がこの世でただ一つのリアルだと言ってるようでした。
物語は結局何も解決せずに終わるけど、それがまた清々しかったような。と言ってもただ単に清々しいと言う一言で終わらせてはいけないと思うけど。 いろんなことを考えさせられ、また気付かせてくれる(でもすぐに忘れそうなんだぁこれが)重いけれど爽やかな見応えある映画でしたね。 オススメ!!
タイトル
感想
タイトル
感想
タイトル
感想