★★★★
ジャック・ベッケル
ジョゼ・ジョヴァンニ

えらい昔の映画です。白黒で、地味な映画。ところがこれがとっても面白い!! 刑務所からの脱獄の話で、実話を元にしているのです。 それが、音楽も特に無く、全編地味。淡々とメンバーたちが脱獄のために穴を掘るシーンが続くのです。ただそれだけといったら、それだけなのです。 それなのに、なぜこんなに怖いのか。目が離せないというよりも、逆に直視していると胃が痛くなるような、見てられない!もうやめて!と言いたくなるような。 セリフも少ない。男は行動で勝負という気迫が伝わってくる。男同士の友情や駆け引きもいい。 ただ、彼ら、悪い事をしたから刑務所に入ってるんですよねぇ。それは考えないように、考えない方が楽しめるかな? 実際に脱獄に加わった元囚人が役者として登場しているのが驚きです。
プライドと偏見 ★★★★
監督 ジョー・ライト
原作 ジェーン・オースティン
キーラ・ナイトレイ
マシュー・マクファディン
ドナルド・サザーランド
ブレンダ・ブレシン
ロザムンド・パイク
ジュディ・デンチ

18世紀のイギリス。貧乏貴族の娘と、大金持ちの青年貴族とが互いのプライドと偏見を押し付けあいながらも、やがては惹かれあうまでの軌跡。

イギリスの田園風景の美しさは、それだけでも映画一本一見の価値アリと思う。本当にキレイ。 最初のうちはそれほどには、ロマンチックなときめきは感じられなかった。ただ、当時の男女の、今からでは考えられないような、慎ましやかな接近具合や、当時の雰囲気が楽しめた。 後半、ダーシーの気持ちがエリザベスに分かってからはすごく良くなっていったと思う。ただ、このダーシーの態度の豹変がちょっと唐突なカンジ。最初のイメージと違いすぎて、あれ?って言う感じもしました。でも馬車に乗り込むときの「手」なんかは、その布石と言うか気持ちの表れだったんでしょうね、あの時の二人の表情がよかった。思えば随所にこう言う細やかなシーンや設定があって、それが説得力になって言ったのだと思う。後半のダーシーはとってもよかった。あんなふうに思われたら、女は参ってしまいますよねぇ! あと、大御所たち、ジュディ・ディンチの嫌なオバサン(それこそ高慢)の迫力といったら、画面のこちらも身を固くしてしまうほどだったし、また本当に娘を思う父親の役のドナルド・サザーランドの押し殺した愛情表現がとってもよかった。一番よかったのはサザーランドのオジサマでした。
ディスタービア ★★★
監督: D・J・カルーソー
シャイア・ラブーフ
キャリー=アン・モス
デヴィッド・モース

現代版「裏窓」と言われるとおり、教師を殴って保護観察処分?を受けた少年が、自宅から一歩も出られないと言う、GPS装置をつけられてしまい(自宅から出ると警察がすっ飛んできて拘束する)仕方がなく始めた「覗き」の中で、現在進行中の猟奇事件に遭遇する。

退屈しないで見られた。 と言うだけの話。 先生を一度殴っただけで、あのGPS装置。あれって、実際にアメリカなどでは使われていると言う話だけど(電子追跡システム、とか、GPSアンクレット、などというらしい。主に性犯罪者に対して使われているような感じです)非常事態の時にはどうするんですか。たとえば、通りで誰かが助けを求めていたら、どうすればいいんだろうか。あまりにも非人道的、人権無視。この映画のような使い方をするのならば、見ていて気分が悪かったです。 しかし、その装置があるからこそ「裏窓」になるわけです。 本家「裏窓」も、刺激的なサスペンスに慣れてしまった現代人には、きっと、まったりしすぎて物足りないのに、「現代版『裏窓』」と言われても…みたいな。 大したことは全然ない、ごく普通のサスペンスでした。 逆にツッコミどころがたくさんで、たとえば前出の監視装置もそうだし、隣に越してきた美人とのお約束の「発展」(根拠が無さ過ぎて逆に笑える。少女が逆に感動してしまうシーンなど、あまりにも男に都合よい展開で、あれれーってカンジでした)や、ちょっと間抜けなカンジの韓国人の友達、などなど、そういう本筋とは違う所で結構楽しめて、それだから見飽きなかっただけ良かったのかもしれません。
サルバドールの朝 ★★
監督: マヌエル・ウエルガ
ダニエル・ブリュール
トリスタン・ウヨア
レオナルド・スバラグリア

フランコ政権下で地下活動をしていた反政府組織の一員、サルバドールが警官を死に至らしめてしまい、死刑を宣告される。サルバドール側は正当防衛だったことや、きちんとした捜査をしていない事を不当だと訴え、死刑を回避しようとするのだけど。。。

なんでしょう、この感動の無さは。。。 このテーマでこの内容、どう考えても感動しない方がうそでしょうと思って見たんだけど、まったく感動は無かったです。 と言うのも、前半の展開は、サルバドールの反政府活動が中心となるんですが、その活動がなんだか「違う」ってカンジ。 たしかに時代背景が今とは全然違っているから、同じように考えてはいけないのだろうと思います。 ファシズムに対抗するには、やっぱりチカラ(武力)持ってして、なのかも知れないけど、それでも主人公側の活動に同調できなかった。まったく!これっぽっちも。 多分、政府側がいかに理不尽を民衆に押し付けているかということが充分に描かれてなかったと思う。主人公側の活動が唐突に、乱暴に、野蛮にしか感じられなかったです。 後半は、話の流れがぶち切れたように全く違う展開、つまりサルバドールの助命活動になっていく。死刑に反対の立場の人間だったら、同調できるのかと言うと多分そうでもないと思う。そういう視点ではないから。ただ、延々とサルバドールの助命についての弁護士や姉妹たちの様子が描かれているだけで、これまた「だからなんなの」と言いたくなるような展開でした。 この人は本当にいた人のようだけど、だからなに?こう言う人がいたよ、と言うだけで終わり。 そんな感想しかない映画だった。。。。
ナルニア国物語/第2章
   カスピアン王子の角笛
★★
娘が見たがったので一緒に見に行ったのですが 世間の高評価とは裏腹に、我ら親子は案外辛口感想。 カスピ庵(こんな変換出た)王子も角笛もたいして活躍してなかったね、と。 何よりも思うことは、子ども向けのファンタジーで、ディズニー作品の割には あまりにも暴力的で残酷だったように思うのだけど そういう感想はあまり見かけず。 ファンタジーの中で「争い」が起きて「殺し合い」をしても それは相手が人間以外、魔女だったり、泥から生まれた兵士だったり と言う設定だから「殺しあう」ことに抵抗がないのではないかと思うのです。 今回は魔女に操られているわけでもなく、 ある瞬間に雲散霧消してしまうような兵士たちでもなく 相手が生身の人間だった事 そして主人公の少女が得々と殺しまくると言う描写に、わたしは抵抗がありました。 敵方の大将はたしかに「悪」だと思うのだけど、その部下や雑兵たちは 同じように殺されても良いのかなぁ。 しかも「生かしてやる」と命を「奪わない」シーンがあるのだけど それ以前にアンタが殺した兵士たちはどうなるの、と問いたかったです。 なんだかすっごく残酷な映画を見たような感じです。 同じ残酷でも「パンズ・ラビリンス」なんかとは異質。 残酷さを厭うのか、奨励するのか。 描きたい事はなんだということです。
バベル ★★★☆
一丁のライフルを発端に、3つのばらばらの土地で、それぞれの人たちのドラマ(とういか災難)が描かれていく。。。 アカデミー賞で話題になったけど、まぁボチボチっていう感じですかね。同じ監督なら「21g」のほうが断然胸に迫るし、インパクトがありました。菊池凛子さんの演技はさすがだったと思う。表情がその場面でガラッと変わって、可愛い顔やいやらしい顔、むすっとした顔とコロコロ変わる表情には魅せられてしまいました。でも、あの日本の物語がなかったほうがきっと、もっと胸に迫る映画になったと思うんだけど、それはやっぱりわたしが日本人だからなのかな。 貧しいモロッコの親子、きょうだいの暮らし、そしてブラピの家に仕える家政婦の立場、それぞれはとっても見応えのあるドラマになってて、現実の厳しさを垣間見る事ができたと思う。。 しかし、この映画で何がよかったって今回はやっぱりガエルくんのカッコよさにつきましょう。 「恋愛睡眠のすすめ」みたいな、ぽわーんとした感じも「可愛い♪」と思いましたが、今回のガエルくん、かなりワイルドでセクシーな男の魅力にあふれてました。 眼福眼福。 あっさりした感想でゴメンなさい。(~_~;)
スパイダーウィックの謎 ★★★

天才子役フレディ・ハイモアくんが双子の役を。
両親の離婚により、母親と田舎の屋敷に引っ越してきたジャレッドたちきょうだい。
そこでジャレッドは、「決して読んではならない」と言う注意書きのある不思議な古い本を見つけた。
それは大叔父スパイダーウィックの残した謎の本。
警告を無視してその本を開いてしまったとき、不思議な出来事が・・・。

「ロード・オブ・ザ・リング」のような全く別の世界で展開するファンタジーが「ハイ・ファンタジー」で、このようにごく身近なところで展開するのは「ロウ・ファンタジー」と言うらしい。
これはその世界を「信じる」「信じない」という立場や考え方で、見方が変わってくるだろう。
映画の中の、きょうだいたちの母親は、子どもたちの言うことを全く信じず、取り合わない。私だったら』子の母親のように信じないし、取り合わないだろう。
そう思うと、映画そのものが荒唐無稽で色あせて見える。
有無を言わせないような力強い説得力はない。こちらに「信じる」とか「信じない」とかの「選択」を与えないストーリー展開ではなかった。
心に残るものは特にない。
僕のピアノコンチェルト★★★★

タイトルからして、ピアニストを目指す少年の話かと思いましたが、(リトルダンサーとか、北京バイオリンみたいな)ちょっと違った。
主人公のヴィトスは、たしかにピアノも常人離れしたうまさなんですが、IQが180以上、測定不能だという天才少年。とてもじゃないが、自分と同年代の子どもたちと話が合わず、教師たちでさえバカに見えてしまうらしい。当然浮いてしまう。
親はかれに、才能に見合った教育を受けさせようとします。しかし、ヴィトスはそんな毎日に嫌気が差し、「普通になりたい」と願うのです。
物語は、そんなヴィトスと、彼を取り巻く環境や人々のなかで、ヴィトスの日常とかれが成長していく様子を描きます。

++++++++++

これは面白かった。 まず、ヴィトスの生意気さ加減が面白い。 こんな子どもを持ってしまったら、親もどうかなってしまう。期待もするだろうし、天才を育てていると言う義務感もあるだろうし、大変だ〜。でも、子どもにとって何が一番良いか、という「基本」を見失ってしまう。「自分の子」を育てているのじゃなく「神童」を育てていると言う自負が、親にどう言う行動を取らせるかという展開がリアルでした。

そんな中で、理解してくれるおじいちゃんとの関わりが、見ているものにもホッとさせてくれます。このおじいちゃんがまた良い。ちょっと「世界最速のインディアン」思い出しました。住んでるところも田舎で、キレイな田園風景。ヨーロッパの田舎ってキレイですねぇ。目の保養。

そんな風に、進んでいくと、こんどはまたちょっと違うテイストの展開に。何重構造の映画なんだろう?みたいな。でも、違和感は無かった。面白かった。
そしてオーラスには、やっぱり「リトル・ダンサー」。
タイトルから受ける印象とはずいぶん違った内容だけど、最後にやっと、「ピアノコンチェルト」と言う、そのタイトルにも納得が行く。
でも、最後の演奏シーン、長いな。たしかに演奏はすごいと思うけど(ほんまもんの神童らしいです)もうちょっとコンパクトでも良かったんじゃないのかな。最後にああ言うステージを見せてくれる映画は多々あれど、どれも「長い!」と思ってしまうものが多い。「ブラス!」くらいの長さがちょうど良いと思います。
ブレイブ・ワン★★★☆

「フライト・プラン」が結構アレだったのし、賛否両論、という評を見ていたので、大体の予想つけつつ期待しないで見ました。 思ったよりもずっとよかったなぁ。 主人公の圧倒的な悲しみや虚無感が伝わり冒頭から泣けてきた。主人公の行動が倫理的にどうこうという以前に、彼女がああ言うことをしたことに対して、違和感が無かった。説得力があった。ラスト、ああ言う形はどう思う?とか、そんなことどうでも良いとおもった。 彼女と刑事の関係も良かった。なかなかヒットです。
ランボー 最後の聖戦★★★★

ランボーなので、誰かが捕まる、ランボーが助けに行く、、、
それ以上でもそれ以下でもない
と言う気持ちで見れば、充分すぎるほど楽しめる作品になっています。
あまりにも残酷な描写の数々、
人がまるで、虫けらのように殺されていく無情さ ・・・と、書くと、ただただ残虐な映画でしかないように思えるだろう。
でも、それが不思議なことに、見ているものにも「ためらい」を感じさせない。 と言うのも 冒頭、相手方の兵士たちが、とんでもない酷さを見せてくれるので、 その後のランボーとの戦いの中で、どんなにコテンパンにやられようとも まったく見ている側に躊躇が沸かないのです。
それどころか、人殺しをしていると言うのに それを見て、こちらはストレス発散ができるほどに爽快な気分を味わってしまうのです。 わたしが特別に残酷な人間だと言うのではないと思う。 それは多分、ひとえに脚本やリアルなCGのなせる業なのではないでしょうか。 そう、考えるとスタローンはすごいと思う。 「ナルニア国 第2章」とは違い、人を殺す事に何の疑問も抱かせない ある意味、見事です。

ただ、いまさら満を持して映画を作るほどのものか?と言う疑問は残りますが。
まぁ個人的に楽しめたので〇!
モーテル★★★

不仲な匂いをぷんぷんとさせた、夫婦連れ(ルーク・ウィルソンとケイト・ベッキンセール)が長距離ドライブの途中、深夜車が故障してしまう。
修理のあてもなく、モーテルに泊まる事を余儀なくされるのですが、不審な物音がするそのモーテルでは、殺人ゲームらしき映像のビデオがおいてあったりして、そして恐怖の一夜が幕を開けたのです。。。

と言う流れで、まったく可もなく不可もなく。
こう言う映画を見慣れてない人には面白いと思うけど、全く怖さも感じないし、見た目のグロさもそれほどでもないし、特に出来が悪いとは思えない映画ですが、盛り上がりもしませんでした。 全くもって「普通」ってかんじ。。。。
不仲の夫婦がこの一夜の恐怖から、連帯感を取り戻すっていうのがテーマなんだろうか。 内容的には妙にマジメな設定でした。それが上滑りしていたような気がしました。
アレックス・ライダー★★★

叔父に引き取られて育てられている孤独な少年、アレックス。叔父の突然の死により、叔父の仕事を急遽引き受ける事に。。。その「仕事」とは、、、、、「スパイ」だったのです。。。!!

これも、可もなく不可もなく。
なんといっても、アレックスがスパイになって行き、その仕事をこなしていくと言うことに対して、説得力が全然ない。そして、その仕事にしても全然必要性がないというか、どうしてもアレックスがしなければならない仕事には思えないので、緊迫感が殆どない! なので、スパイモノとして見れば、全然面白くなかった。

面白いと言うか、よかったのは、ひたすらアレックスのキュートさ。 これがあれば、多少物語がまずくても、ご馳走様!って言う感じになります。 アレックスが前半、マッチョな強面相手に立ち回りをするシーンでは、あまりにすごさに目を奪われ、そのシーンがこの映画の中では一番楽しめた。カッコよい!一見の価値あり。
脇は、曲者俳優たちが陣取り、結構面白いキャストだったんだけど、なんかもったいないような気がしました。今回面白かったのは、「チャーリーとチョコレート工場」で、ガム少女バイオレットの母親の役をやったミッシー・パイル。面白かったです。
あと、ご存知デイヴィ・ジョーンズのビル・ナイ、ミッキー・ロークは「こんなになってしまったのね」ってか。
お目当てのユアン・マクレガーはあまりに出番が短く、損をした気分。 見てソンはない、けど、見なくてもいいかもしれない、と言う程度の映画です。
スターダスト★★★

壁の向こうにある、不思議の王国「ストームホールド」。主人公トリスタンは、片思いの相手に星をプレゼントするために、その壁を乗り越える。そこでは、流れ星の心臓を手に入れ、若さを取り戻そうとする魔女たちや、王国の継承争いで星の持つルビーを奪おうとする王子たちと、追い追われの大冒険が待っていた。

うーん・・・長い!!前半はもう長くて面倒で、見るのをやめようかと思えたけど、後半がとても面白くなり引き込まれる展開で、ラストがまた気持ちいいくらいのラストなので、見てよかったと思いました。 どうして、流れ星が地上に落ちると美女になるの?しかも、クレア・デインズが美女で良いの?と言う感じで、多少疑問に思うところはあるんですが、まぁ「魔法の国」での話だと割り切れば、オッケー。 主人公の冴えない青年がこの冒険によって、カッコよくたくましく成長していくのが、見所の一つではあるんですが、そのサブキャラたちがとても愉快で、楽しかったのです。
たとえば、王国の継承者を争う兄弟たち(それを見ている死んだ兄弟たちとか(お父さんはP・オトゥールですよ。相変わらず美しいブルーアイズでしたわ))や、なぜか登場する海賊船の船長がロバート・デ・ニーロだったり、しかも変な癖があったり、でも、いい人だったり。
魔女のミシェル・ファイファーもすごい熱演。だんだんと老いて行く姿が、他人事ではありませんでした(^^ゞ 主人公が星に惹かれて行くのも、星が主人公に惹かれて行くのも、イマイチ説得力に欠ける気がしたけど、一種のストックホルム症候群じゃないかと思って納得した。
ラスト、ほんとに気持ちいいハッピーエンドで、長々見たカイがあったと思いました。こうじゃなくっちゃ!! カスピアン王子のベン・バーンズもちらっと登場。できれば主人公を彼にしてほしかったな。(特にファンではないけど、主人公よりずっとマシ)
インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国★★

冒頭のほうで、インディが迷い込んだ核実験場、その核爆発の真っ只中から生還するシーンがあります。 核爆発、原爆投下そのままの雰囲気(ではないだろうけど、本当の原爆はもっともっと) マネキンがたちまち熱にとけ、全てが一瞬で跡形もなく吹き飛ばされる。 なんと悪趣味な・・・。ワクワク感がこれで一気に引いてしまいました。 そんな中で、冷蔵庫のなかに入り込んだインディは、無事に脱出する事ができるのです。 そんなアホな。あり得ない。 みなさん、冷蔵庫です。核爆弾が落ちても、冷蔵庫に入れば助かります・・って? そんなアホな。 ちょっと酷すぎるんじゃないですか。 インディもかなり被爆しているはずでは。 被爆について、もうちょっとでも勉強したらあんな設定にはしなかったはず。 その後のストーリーにこの核実験が何の関係もないから、余計に疑問に思います。 なぜなんだろう。なぜこの核実験を映画に使ったんだろう?? 映画なんだもん、いいんですよ、核実験をしても。 核爆発から逃れる事ができる奇跡のような生命力もアリですよ。 フィクションだもん。 ただ、モンダイはその「見せ方」と「リアリティ」と「説得力」だと思うのです。 映画の中で人が死ぬ場面があっても、普通は「映画だから」と思いますよね。 だけど、「人が死ぬ事」や「殺す事」で笑いをとったり、それをギャグにした場合 見ていていやな気分になりませんか? それと同じ事だと思うんですよね。 他の内容的にも、あまりにドタバタしすぎて、追いかけっこに終始してて。 アドベンチャーやパニック映画がこれだけ出ている今、 これと言って目新しいワクワク感もない。 肝心のストーリー展開もなかなか進まず 途中で飽きてきて、眠気に襲われ寝てしまいました。 肝心のクライマックスで寝てしまったので 実際、面白いのかどうかわたしには分からないのですが。 これはもう、インディ・ジョーンズというキャラ頼みの映画。 あるいは、ケイト・ブランシェットか。
サタデー・ナイト・フィーバー★★★☆

ジョン・トラボルタの一世を風靡した映画です。 1978年公開作品、監督はジョン・バダム(「ニック・オブ・タイム」「バード・オン・ワイヤー」「張り込み」「ドロップ・ゾーン」など)です。

ディスコキングとして成功する主人公を描いたサクセスストーリーなのだと思っていたのですが、記憶と違い、案外にも暗くマジメな内容で、しかもそれほどスカッとするようなサクセスストーリーではなかったです。 賃金も低く将来の展望のない若者たちが、エネルギーを持て余している。それを発散させるのは友達と一緒につるみバカ騒ぎをしたり、敵対するグループとけんかをしたり、、、その中でも一番が土曜のディスコで踊る事。トニー(トラボルタ)はダンスの才能があったので、ダンスにたいしては真摯なのです。ディスコのコンテストに向けて、パートナーを見つけレッスンし、コンテストに臨むというストーリーです。
トニーの両親にとって、牧師になった兄だけが自慢であり誇りだったので、しがないペンキ屋の店員でダンスに現を抜かしているようなトニーは言わば「できそこない」。家の中でも見向きされず、かといって街でも誰にも相手にされない。ディスコだけがトニーの「居場所」なのです。ディスコでは「キング」だったし、女にもモテモテ。でも一歩外に出れば・・・・・。 そんな主人公の、やり場のない苛立ちは、映画公開時の若かったわたしにはよく分からなかったと思います。今は分かる。そんな目で見るとこの映画は、現代にもちゃんと通じるところがあるんじゃないかと思いました。

コンテストのパートナーに選んだ女性が、正直ダンスが上手いとも思えず、しかも性格が悪い。ここまでコケにされてもなお、トニーがこの女に執心なのがちょっと解せない、というか、同じ女としてみるといやーなカンジ(笑)。
ディスコキングと言うので、かなり軽薄なイメージがあるんですが、トラボルタはスタイルもよく、きれいな瞳と甘い声、誠実で優しそうなところも今のわたしにはとても魅力的に思えます。当時は彼の魅力も分からなかったですね、精神的に子どもだったんですね(笑)。
コンテストでは優勝するんだけど、自分たちよりも上手いカップルに優勝杯や賞金を譲ってしまいます。だから、コンテストに優勝→プロのダンサーとして花開く、と言う単純なストーリー展開ではないのです。相変わらず彼の将来は、よくも明るくもない。だけど気持ちだけは晴れ晴れとして爽やかな、そんなラストが却って印象的な映画なのです。
ちなみに、トニーの部屋にはブルース・リーやロッキー(スタローン)やアル・パチーノやファラフォーセット・メジャーズのポスターが貼ってあって、そんなところを見るのも楽しかったです。

この映画の前にトラボルタはTMV「プラスチックの中の青春」という作品に出ています。「サタデー・ナイト・フィーバー」が流行っていた頃だと思うけど、日本でもテレビ放映されてわたしも見ました。病気でプラスチックのカーテンのような囲いの中で無菌状態で生きている少年が初恋を知って・・・と言う映画です。この映画で共演したダイアナ・ハイランドという女優さんとは実生活でも恋人になったそうです。彼女はガンで「サタデー・ナイト・フィーバー」の撮影中に亡くなったそうです。そのことでこの映画の撮影は一時中断するほど、トラボルタは気落ちしてしまったとか。そのほかにも人気沸騰中だったトラボルタはどこに行ってもファンが寄ってきたので、撮影に支障をきたしたとか。結構難産で生まれた映画のようです。
グリース★★★★

これは1978年製作公開の作品。監督はランダル・クレイザー。先の記事にも書いた「プラスチックの中の青春」や「刑事スタスキー&ハッチ」(ひょ〜!懐かしい!)「青い珊瑚礁」などの監督でもあります。

夏休みに知り合ったダニー(トラボルタ)とサンディ(オリビア・ニュートン・ジョン)夏が終れば二人はそのまま別れてしまう筈だったが、サンディが父親の転勤で同じ学校に転校してきた。思いがけない再会に喜ぶ二人だけど、ダニーはツッパりクールに決めていたので、仲間の手前素直に喜んだりできない。しかし、すれ違いながらもやっぱり二人は恋人になっていく、そうして高校最後の年が終わっていく・・・という話で、他愛のない青春ドラマなのですが、なんといっても軽快で楽しいミュージカルの魅力が満載。
「サタデー・ナイト・フィーバー」よりも「グリース」のほうが、文句なく楽しめるし、トラボルタのセクシーダンスもパワー全開。男同士の友情も気持ちよく描いてあり、楽しめる映画です。
当時、オリビア・ニュートン・ジョンはすごく人気があり、「恋人にしたい女性」bPだったとか。この映画を撮ったころはすでに30歳ぐらいで、とても高校生の役をする年齢ではなかったのに、見事に?高校生になりきっています。
これもわたしには映画の公開当時に、トラボルタの魅力が分からなかったので、そんなに面白い映画とは思いませんでした。リーゼントとかがかっこいいとも思わなかった少女だったし(^_^;)
でも、今見ると本当にトラボルタの魅力とカリスマ性にやられてしまいます。 自動車の修理のダンスシーンや、高校内のダンスコンテストのシーン、卒業フェスティバルの全員ダンスのシーンなどは特に好きで、何度も見てしまうほど。 その当時にこの魅力がわかっていたら、違う人生になってたかもね(笑)
ミッドナイト・クロス★★★★

監督・脚本ブライアン・デ・パルマによるサスペンスです。主演はこれまたジョン・トラボルタ。1982年の公開作品です。

映画の音響効果技師をしている主人公のジャック(トラボルタ)は、夜中に森の中で映画に使える音を収集しています。そこである自動車事故を目撃、湖に沈む車の中から女性を救い出します。しかし同乗の男は死亡。その男はなんと知事選に出馬する政治家だったのです。 その事故に作為を感じたジャックは、真実を探ろうとして・・・という政治がらみのサスペンスです。

事件そのものは、政治サスペンスと猟奇殺人ミステリー、その二つのつながりにスマートさが感じられずすこし残念な気がしましたが、見所はやはりトラボルタ。とても誠実そうで優しい包容力のある男を演じていて、劇中の彼にとても魅力を感じます。
もともと警察の内務捜査官として自分の不注意から同僚を死なせてしまったという悲しい過去を持っていることなど、彼の人物像に深みがあるのも物語に引き付けられるポイント。
音響の技師であることから、事件の夜の拾い集めた音を技術加工するシーンなど、今ならコンピューター処理によりもっと簡単に済むのかもしれませんが、地道な作業をする彼の姿もまた職人気質風味をかもし出していて良い感じ。その作業も面白く見応えありました。

ここから結末に触れるネタバレです。

一度、警察の内務捜査にて同僚を死に至らしめる(彼だけの責任ではないにしろ)という過去を持ちながら、またも同じように今度は恋人になろうとする女性を死なせてしまうというオチは、とてもとても辛すぎるラストです。彼女のいまわの際の叫び声を映画の中で使うなどとは「まさか」と思ったけれど、彼はそうすることで生涯自分を戒めよう、この「罪」を一生背負っていこうという決意をしたのではないかと思います。あまりにも悲痛で、主人公にこう言う人生を与えた監督は、ほんとに鬼、残酷なひとだなぁとしばし余韻が去らないのです。 トラボルタのなんともいえない表情が印象的な、名作です。
デス・プルーフ in グラインドハウス★★★

監督 クエンティン・タランティーノ
出演  カート・ラッセル(スタントマン・マイク)
ロザリオ・ドーソン (アバナシー)
ローズ・マッゴーワン (パム)
シドニー・タミーア・ポワチエ (ジャングル・ジュリア)
ゾーイ・ベル (ゾーイ)


あらすじ: スゴ腕スタントマンのマイク(カート・ラッセル)は、愛車“デス・プルーフ”に乗り、美女をナンパしては死のドライブに誘っていた。ある日マイクは、テネシー州で豪快なスタントライドを楽しむ3人の女性たちに目をつける。いきなり車をぶつけ、しつこく追い回すマイクにキレたゾーイ(ゾーイ・ベル)たちは、決死の猛反撃に挑む。(シネマトゥデイ)

普通の元気な女の子たちが、狂気を持った愉快犯の餌食になる物語。 特にストーリーはないと。 作品の大半は女の子たちがたわいないお喋りをダラダラとしていて、その点見ていて飽きる。 カート・ラッセルが演じる殺人鬼が、自分も含めて女の子たちを血祭りに上げるシーンがまず、凄い。見所の一つです。 そして一番は後半、牙をむく「ヤツ」と彼女たちとの地獄のカーチェイス。これは見応え満点。 スタントマンをしている女優さんだけあって、体当たりの「演技」(演技?)は迫力ある!! とにもかくにも彼女(ゾーイ・ベル)のカッコよいこと。女も惚れます。 酷い映画と思うけど(笑)スカッとする事は間違いない。 ここまで徹底しているのは見事と思いました。
プラネット・テラー in グラインドハウス★★☆

監督 ロバート・ロドリゲス
出演 ローズ・マッゴーワン (チェリー)
フレディ・ロドリゲス (レイ)
ブルース・ウィリス (マルドゥーン)
ジョシュ・ブローリン (ブロック医師)


「デス・プルーフ」とこの「プラネット・テラー」が一つの作品「グラインドハウス」として劇場公開された。グラインドハウスとはB級映画ばかりを2本立て、3本立てで上映するアメリカでかつて流行った映画館だそうです。それをクエンティン・タランティーノとロバート・ロドリゲスでホラー映画を競作した形。 こちらはロドリゲス監督の「プラネット・テラー」 要するには、ゾンビ映画です。ホラーといったらゾンビでしょ、みたいな。過去に数あるゾンビ映画の中でも、ここまで血なまぐさくおぞましいものもなかったのではないかというぐらい、徹底的に血が流れ肉片飛び散り凄まじい出来になっています。 主演の女性ダンサーがカッコイイ、日本人なら手塚作品の百鬼丸を彷彿とするのではないでしょうか。 「デス・プルーフ」と「プラネット・テラー」比べてみればわたしは「デス・プルーフ」の方が好み。
俺たちフィギュアスケーター ★★
監督: ウィル・スペック
出演:ウィル・フェレル
ジョン・ヘダー
ウィル・アーネット


男子シングルのトップスケータである二人、ジミーとチャズはタイプも正反対のライバル。 犬猿の仲である二人はあるとき失態を演じてしまい、スケート協会から永久追放されてしまう。 3年後、フィギュアへの夢を諦めきれない二人は、ひとを介して男子同士のペアを組む事に・・!! それでも、犬猿の仲のふたりは反目しあってばかりいて、大会出場に間に合うのか・・?? めっちゃ面白い、って程でもないです。 こんなモンだろうと、期待しないで見ればそれなりに楽しめる。 チャズもジミーも強烈な個性を持っているので、その辺は面白いです。 でも、フィギュアのファンから見ればあまりにも演技が下手。 まず、体が硬すぎます。 あんなに体の硬いフィギュア選手はいませんよ。 そういうとこ、たとえおバカ映画だとしてもリアリティが欲しい所。 チャズも太りすぎ。あそこまで肥えたフィギュア選手はいませんよ。 もうちょっと絞って欲しかったな〜〜。 演技がCGなのはいいんですよ。でも、もうちょっと見せて欲しかったと思う。 CGでも吹き替えでもなんでも、映画の中のスケートシーンが少ないように感じました。 ドタバタ劇にしてしまったのは、失敗だったのかも。 フィギュアのファンとはいっても、それほどのことはないわたし。 もっとファンのひとが見たら・・・・案外楽しめたりして(笑)。 思いがけぬ「本物」が何人も登場するのが一番笑えるところ。 あの選手が、あんな演技を!!もともと好きな選手だったけどもっと好感度アップ。 懐かしいスコット・ハミルトン。スピンは目に焼きついていますよ。 特典映像のインタビューでも結構言いたい放題で面白かったです。
WILD HOGS/団塊ボーイズ ★★
監督 ウォルト・ベッカー
ジョン・トラヴォルタ (ウディ)
ティム・アレン (ダグ)
マーティン・ローレンス (ボビー)
ウィリアム・H・メイシー (ダドリー)
マリサ・トメイ (マギー)
ジル・ヘネシー (ケリー)
レイ・リオッタ (ジャック)


日常生活から離れたいと思ったオジサンたち四人が、ハーレーでアメリカを横断するロードムービー。 気ままなツーリングのはずが、思わぬアクシデントに遭遇しててんやわんやの大騒ぎ。 果たしてこの旅は無事にいくのか??

もっと爽やかで面白いのかと思ってたら、それほどでもなかった。 評判はかなりいいですけどね。 つまらなくもなかったけど、、、、可もなく不可もなく・・・・程度。
ともかく、一番イヤだったのは「シモネタ」が多すぎること。
女の子が悪態をつくときもそっち系のシモネタだし、メイシーがウン●袋をぶら下げて見せたときは(たとえ中身がホンモノじゃないと分かっていても)辟易してしまいました。その上、「ソレ」をどうするかということで、話が長すぎるし・・・。ゲンナリ。
ホモのネタも結構ちょこちょこあったけど、これも特に笑えず。
そして、この主人公のトラボルタの演じるウディが、あんまり好感の持てる人じゃない。 誠実さに欠けていると思いました。 弱虫でもケンカに弱くてもいいんだけど、一本筋の通った所が欲しいのに、それがなかった。 トラボルタ祭りで何本かこの人の出演作を見ましたが、一番よくない役柄です。 なので、4人の友情や連帯感に説得力がなかったと思う。
後半、ヤサグレどものトップがレイ・リオッタなのは笑った。まつげバチバチの愛くるしい瞳なのに、チンピラ風情が良く似合ってて迫真だったと思いました。
マリサ・トメイも久しぶりに見たけど、ちょっと年取った?と思ったけど、相変わらずスタイル良く可愛かった。西部劇風のファッションもとても良く似合ってて、見ていて楽しかった。
この映画で一番よかったのは、広大な大地を走る4機のハーレーの美しい隊列。 これは見応えあるし、劇場の大きなスクリーンで見たかった。 見たらもっと楽しく見られたのかも。
ジェシー・ジェームズの暗殺 ★★★★
監督 アンドリュー・ドミニク
製作総指揮 ブラッド・グレイ 、トニー・スコット 、リサ・エルジー 、ベンジャミン・ウェイスブレン
原作 ロン・ハンセン
ブラッド・ピット (ジェシー・ジェームズ)
ケイシー・アフレック (ロバート・フォード)
サム・シェパード (フランク・ジェームズ)
メアリー=ルイーズ・パーカー (ジー・ジェームズ)
ジェレミー・レナー (ウッド・ハイト)
ポール・シュナイダー[俳優] (ディック・リディル)
ズーイー・デシャネル (ドロシー)
サム・ロックウェル (チャーリー・フォード)


重厚で見応えのあるドラマでした。 タイトルの通り、ジェシー・ジェームズなる人物が暗殺されるまでと、その後日談が描かれた物語です。というところで、ジェシー・ジェームズと言う人物の事ですが、アメリカ南部ではとても高名で英雄のように語り継がれている人物なんだそうです。私はこの映画を実話に基づくドラマとは知らなかったし、ジェシー・ジェームズの誰だかも知らずに見ていたのですが、その辺のことはもっと事前に知っていればおもしろかったかなぁと思います。映画の中では殆ど説明がなく、南北戦争のことも多少は説明があるけれど、その戦争を経て「北軍の圧政に苦しむ南部人民には、北軍に対する抵抗の象徴として英雄視されていた」のだそう。とてもとても人気の高い人物だったようです。
映画の中では、ご多聞にもれずジェシーに憧れた若造が、すでにジェシーの仲間である兄のつてをたよってジェシーに取り入ろうとするのですが、その若造(この物語の主人公ともいえるボブ・・ケイシー・アフレック)の視点で描かれているため、残忍で容赦ない恐ろしい男としか伝わってこないのです。新聞記事やら風評によって出来上がっていたジェシーの姿と、ボブが見たジェシーの姿とはあまりにも違うのですね。そこのところの細かなニュアンスが、もっとわかれば、より面白かっただろうなと思います。
長年による逃亡生活に疲れ切ったジェシーの、スレスレのところで均衡を保っている精神状態。有無を言わさぬ威厳と言うよりも、恐怖感を抱かせるジェシーの姿をブラッド・ピットは熱演をしていました。画面のこちらも身をすくめてしまう怖さがあります。笑顔が叉怖いんですよ。
ボブが、暗殺をするまで二人の間にどのようなことがあったのか、なぜ崇拝していたはずのジェシーをボブが暗殺するに至るのか。。。二人の間に漂う緊迫感がとても見応えがありました。

そしてわたしがおもしろかったのは、その後日談。
お尋ね者で、懸賞金も多額掛けられているジェシーを暗殺した「ヒーロー」であるはずのボブのその後が、あまりにも「予想外」だったのです。この後日談こそ、わたしは好き。
長い映画でしたが、美しい風景をスタイリッシュに切り取ってあるシーンのひとつひとつが好ましく、前編見飽きず見ることができました。
崖の上のポニョ ★★★☆
ほのぼのしていい映画でした。
ほのぼのしすぎているというか・・・、今までの、いろんなパニック映画を見ていると、こういうのちょっと物足りないと感じてしまうんですが、これはこれで愛のある作品でした。 ゲドのときになかった「掴み感」は充分で、冒頭から釣り込まれました。 水の描き方がとても斬新で、自分では絶対に体感できない感覚が、うまく表現されていて「この中に入ってみたい」と思わされるような。

老人ホームに勤める母親と、船乗りの父親の間の子どもソースケが主人公なんですが、この子がすっごくイイコに描いてある。 老人たちに優しくする場面や、ケンカする両親の間(ケンカというより一方的に母親が怒ってた)にはいって取り持つ場面なんか、なーんか胸がジーンとして泣けた。両親のケンカも、船の上の父親とモールス信号ですか?灯りの合図で言葉のやり取りをするんだけど、ケンカしてるんだけどアイがあるなぁという感じで泣けてしまいましたよ。
魚の子、ポニョがソースケを慕い、人間になろうとする話ですが、人間になってソースケのところにやってくるシーンがまたよかった。こんな迫力のある海を見たことがなく、こんな風に海をデフォルメする宮崎さんはやっぱり天才!と思いました。海の凄さだけじゃなく、これも、ポニョの一生懸命さに打たれて泣けた。
しかし、泣けたのは前半で、後半はやたら話がほのぼのしてて、世界の危機とか言われてもピンとこず、世界の危機は免れたと言われてもそれもピンとこず。緊迫感とか危機感とかもうちょっと欲しかったなぁ。何が危機で何が救いとかも、あんまり良く分からないうちに終っていった。
悪者は出てこないので、トトロっぽい。しかし、メイちゃんが迷子になりネコバスで・・・という、言わば「ただの迷子」なんだけど、スピード感にあふれた感動的なあのシーンのような、絶対的に胸を掴まれるようなカンジはちょっとなかったかな。
でも、こう言うほのぼのした映画を楽しめないなんて、あまりにも悲しい。こう言う映画を「面白かったよ、よかったよ」と堂々と言える自分でいたいと思う、思わされる映画でした。 一茂氏が思いのほかよかったけれど、他の「声」はまったく不満。
銀色のシーズン ★★★☆

あらすじ: 寂れた町営スキー場でやりたい放題の日々を過ごしている"雪猿"たち、城山銀(瑛太)、小鳩祐治(玉山鉄二)、神沼次郎(青木崇高)の3人組は、賭けスキーやスキーの当たり屋などをして周囲の人々に迷惑ばかりかけていた。そんなある日、彼らの前にスキーがまったくできないという綾瀬七海(田中麗奈)が現れる。(シネマトゥデイ)

最初、瑛太がサイテーなんですよ。初めて会った女にいきなりの「お前」呼ばわり。スキーができないだけで「人間のくず」呼ばわり。映太の仲間も似たり寄ったりで、あんまり好感が持てない。 と思いながら見ていたんだけど、見終えてみれば「おもしろかった〜!」と。
ともかくスキーのシーンが最高です。めっちゃテンション上がります。見せ方も上手くて見飽きない。 そして、中身が最低でも、あんなイケメン集団のいるスキー場なら、行くなぁわたし。 パトロール隊も隊長の杉本哲太はじめイケメンぞろいみたいだったし、あんなスキー場なら行くよなぁ・・(しつこい!)。 ストーリーはまぁまぁだったと思うけど、それ以外の部分でめちゃくちゃ楽しめた映画です。
ルイスと未来泥棒 ★★★
あらすじ: 発明家を夢見る天才少年ルイスは幼いころに母と生き別れ、養護施設で育つ。彼は一目母親に会いたいという一心で、忘れてしまった記憶を呼び戻すマシーンの開発に熱中し、見事成功。科学フェアでの発表の当日、彼の前に未来からやって来たという少年ウィルバーが現れ……。(シネマトゥデイ)

まぁまぁ、おもしろかった。
ウィルバー少年の正体のわからないところ、それが次第にわかってくるところ、張り巡らされた伏線が次々と明らかになってくるところ・・・いちばんは、謎の未来男の正体!など、わくわくした部分多々あり。
とくに、ウィルバーの一挙一動が子どもたちに受けていた。
しかし、そこまで「あ〜〜〜よかったなぁ〜〜!」と思うほどでもない。「トイ・ストーリー」や「モンスターズ・インク」やカーズ」に比べたら全然・・・。
飛ぶ教室 ★★★★
ケストナーの原作を、現代風にアレンジした作品。舞台はドイツ。原作ではもちろん、東西統一はされてないのだけど、こちらは統一後でお金の単位もユーロになっていて、学校は男女共学、(主人公のヨーニー→ヨナタンは転入生だし、原作では美少年のテオドルが映画ではちょっと気持ち悪いのがイヤだけど)初恋シーンもあり、ラップなんかも登場。原作の一番の見所、ベク先生と禁煙先生の友情復活と言うのは映画でも最大のヤマとなっているので、映画は映画として、楽しめる作品です。でも、やっぱり原作を読みましょう!!
アイアム レジェンド ★★
テレビCMでかなり期待してしまった。結局ゾンビ映画なのね、とがっかりする。ゾンビはもういいです。
ハプニング ★★
シャラマン監督の話題の「ハプニング」見てきました。 先日映画館で予告を見たとき、この後どうなるんだろう、気になる!!と。 思うつぼですわ(笑)。

ストーリー的に予想ができず、(主人公たちは助かるんだろうという予想はつくのですが) なかなか引っ張られる感じはありました。そういう意味では決してつまらなくないんですけど。 しかし、後に残るものが何も無い。
いきなり、みんなが残忍な方法で自殺してしまうという以外に、何も覚えてないんです。 消化不良気味なのがこの映画のテーマでもあるのかなと思うのだけど。それにしてももやもやっとした感じの後味。非常にはっきりしない後味です。
冒頭の5分はそりゃ衝撃です。でも、その衝撃がこの映画の全て。
夫婦愛や子供を守らねばならないという使命感なども織り込まれてはいるんだけど、イマイチ伝わってこない。 怖い映画なのかと言うと、たしかにある程度は怖いけど、インパクトは最初で終ってしまっているし。 途中でヘンな老婦人が出てきて不気味な雰囲気をかもしてますが、それもなんか唐突だしストーリーとは関係ないところの不気味さだったし。 この映画のなかで主人公、マーク・ウォールバーグは教師で、授業内容の中に「蜂が大量に消えている」と言うんです。それはつい先日NHKの「クローズアップ現代」で見た、「CCD」の事ではないですか。あれは実際科学者たちが原因を究明していましたけど。。。それをムリに「超常現象」のように取り立てるのは、好ましくないと思いました。
とにもかくにも「ビミョー」ってカンジ。。。
ダークナイト ★★★★
監督 クリストファー・ノーラン 
出演クリスチャン・ベイル (ブルース・ウェイン/バットマン)
マイケル・ケイン (アルフレッド)
ヒース・レジャー (ジョーカー)
ゲイリー・オールドマン (ゴードン警部補)
アーロン・エッカート (ハービー・デント検事/トゥーフェイス)
モーガン・フリーマン (ルーシャス・フォックス)

バットマンシリーズって、今まで見たことがなかったのです。(ティム・バートンは好きなのに、初代の「バットマン」も見ていない)今回、ヒース・レジャーの遺作ということもあり、どうしても見ておきたくて見に行きました。 その前に「バットマン・ビギンズ」は絶対に見て置くべき、ということを聞いて「予習」していったのですが、わたしには「バットマン・ビギンズ」が、初めての「バットマン」だったのです。 それで、驚いたのは、バットマンはヒーローだと思ってたので、スパイダーマンやスーパーマンのような「存在」だと思っていたのに、バットマンには手のひらからくもの糸が出るような事はなく、ましてや空を飛ぶこともなく、超人的な力持ちでも、変身さえしない、ごくごく普通の人間の男でした。 自分の住む街にはびこる悪にたいして、あまりにも司法、警察が行き届かないのをじれったく思った、ひとり「自警団」だったのです。 バットマンの装束は、なんと自前。ただ、わたしなどが想像を絶する大富豪なので(家はお城だし!)お金にモノを言わせて、自分の父親の経営する会社(今では自分の会社)の会社員に無理難題を吹っかけるように、あのバットマン・スーツを開発させるのです。 空を飛んでいるのかと思ったけど、実際には飛んでいるのではなく、特殊な「グライダー」を使っている。それもこれもみんなモーガン・フリーマン演じるルーシャスが開発製造しているのです。 なんとも手作り感のあふれる「ヒーロー」でしょう。かなり、先入観と違っていて意表をつかれてしまいました。 さて、今回公開された「ダークナイト」は、「バットマンビギンズ」の続編と言うべき作品です。 見所は色々あるのですが(「ビギンズ」よりもはるかにパワーアップしたバットマンスーツや武器、そしてあのバットマンが乗る装甲車などなど!)、ひとことで感想をいうと「暗くて重苦しくて、長い」と言うことでしょうか(^^ゞ。 ダークナイト、と言うだけあって、本当にダークでした。全編殆どダークな迫力に満ちていて、ちょっと疲れてしまいました。いつまで続く、この重苦しいのは・・・とグッタリ・・・。 やっぱり、ヒースの鬼気迫る熱演のせいでしょう。何本か彼の映画を見たけど、このジョーカーは間違いなく、人の記憶に刻み込まれましょう。 世にも奇怪な「ジョーカー」がバットマンの敵として立ちはだかるのですが、どうもバットマン、全然「勝つ」気がしません。なぜなら、ジョーカーはバットマンに「勝とう」と思っているように見えないから。戦おうとしているようには見えないから。戦う気がない相手に勝つことはできないでしょう。 最初から勝負のない戦いに見えたので、ハラハラするというよりは、これはどうやって決着をつけるんだろう?と、不思議な気持ちさえしました。勧善懲悪ということばが当てはまらないような。 物語の核を握るもう一人の人物、アーロン・エッカートの演じるデント検事。ものすごい正義漢なのですね。途中、感動の涙が流れるほどに正義感あふれる検事でしたが、彼がジョーカーによって次第に変わっていく、その過程と結末こそ映画の核ではないかと思いました。(でも、ちょっとあの顔はやりすぎじゃない?)人間の本質の「裏の面」を描いていたのかも。 逆に、ジョーカーに勝つのは意外にも普通の一般人たち。フェリーの人々。彼らはデント検事のように正義を振りかざす事もなく、自分が正義漢であるという自覚もない。だけど心の中には自分でも気付かない「正義」があるのだと知らしめたあの出来事は、作中で一番の感動でした。これはデント検事とは逆に人間の本質の「表の面」みたいなのを描いていたのかなと、思いました。 そして、往々にして孤独なヒーローたちなのですが、バットマンには信頼すべき仲間がいますね。バットマンスーツの開発製作責任者のルーシャスや、子どもの頃からウェイン家に仕える執事のアルフレッド、そして正体は知らずとも同じようにゴッサムシティを真剣に守ろうとする、ゴードン警部補です。彼らとの関わりが、とてもいい感じで好き。(役者たちも豪華!) ゲイリー・オールドマンに関しては、わたしは彼も「ジョーカー」系の役柄が似合うと思うので、今回の刑事役はいわゆる美味しい役どころですが、正直ちょっと物足りないかも。「ハリーポッター」といい、なんか最近「いいひと」の役が多くないですか?そういうのもとってもいいですけど、またどぎつい役もやって欲しい。
フェノミナン ★★★
監督 ジョン・タートルトーブ
出演 ジョン・トラヴォルタ
   キーラ・セジウィック
   フォレスト・ウィッテカー

のどかな田舎町で、車の修理工をしている気の良い人気者のジョージ。誕生日パーティの夜、不思議な現象に遭遇し、「天才」で「超能力者」になってしまった。最初は驚きと好奇心で接していた街の人たちも、次第にジョージをうさんくさく感じ、奇異の目で見るようになる。 そんな中でも変わらずにジョージに接しているのは数少ない友だちと、ジョージが片思いをしているシングルマザーのレイスだけだった。 しかし、この「超常現象」の本当の理由は・・・。

+++++ネタバレあり

のどかな田舎町の情景がとても良く、その中で修理工をしながら畑で農作物を作っている主人公が、とても良い感じ。超能力を手に入れることで、周囲と摩擦を起こすがそれは、自分ではなく周囲が変わってしまうから。なにか突然事件が起こると、人は変わってしまうのか。それでも、自分の能力を人のため、地域のために役立てようとする、どこまでもお人よしの主人公、それはそれはジョン・トラボルタにとてもよく似合う役どころでした。
シングルマザーの美人に心を寄せて、振られても振られても果敢に迫る(でも、強引じゃない所がとても好ましい)ジョージには、見ている女性も心を動かされるでしょう。甘い声と優しいブルーアイズ。素敵ですよねー、ちょっと腹出てるケド。
ほのぼのとした物語がジョージの超能力の真の理由が分かった時、とても切ない物語に一転。
「ぼくが死ぬまで愛してくれるかい?」
と、問うジョージに 「いいえ、私が死ぬまでよ」 と答えるレイス。
印象的なシーンでした。

ただ、FBIまで出てきたのは余分だったかな。そのぶん冗長散漫になった印象。 これがなくて100分ぐらいにまとめてくれれば、もっと良かったと思う。長すぎ。
十二人の怒れる男 ★★★★
監督 シドニー・ルメット
出演 ヘンリー・フォンダ


ストーリーはいたって単純。少年が親を殺したと言う殺人事件の裁判で、12人の陪審員たちが判決を下すまでを描いてあるのです。 しかし、あっさり「有罪」に決まりかけた結論は、たった一人が「無罪」を主張した事でご破算になる。12人の意見が揃うまでは、判決を下せない。そのため陪審員たちはその後、長い時間を拘束されることになる。エアコンも扇風機も壊れた狭い室内に閉じ込められた12人の陪審員たち。早く帰って野球を見たい人間もいれば、その室内の暑さにイラつく男もいる。「こんな裁判、早く終わらせよう。『有罪』でいいじゃないか」とばかりに結論を急ぐ男たち。 11人の男を前にひとり「無罪」を主張する男が、諄々とその裁判の矛盾点を説いて、他の陪審員たちを説得していくのだけど、その説得力やヒューマニティがとても見応えがあるのです。 見れば見るほどに、いい加減な裁判だったと言う事が分かってくる。検察側のずさんな捜査、国選弁護人のやる気のない弁護、それらをキッチリ検証していく、無罪を主張する男のスマートさに釣り込まれます。 冒頭でチラッと見えた被告人である少年の、頼りなげな縋るようなまなざしも「無罪なのでは」と見るものを誘導していきます。その部屋から一歩もでない、登場人物も12人と裁判所の係員くらいです。それでも全然飽きさせず、事件の情景すら浮かんでくるような臨場感。 お見事な名作です。 しかし、この事件、本当のところはどうなんでしょうか。真偽はともかく、ひとつでも疑わしい点があれば、とことんまで明らかにする姿勢。。それが大事なんだということですね。 それは、少年が本当に罪を犯したのかどうかにはかかわりなく、司法に架せられた義務であり、国民の権利です。 それがキッチリ描かれていました。だからこそ、少年が本当はどうしたのかは明らかにされていないのでしょう。 冷静沈着な正義漢をヘンリー・フォンダがしずかに熱演。印象的でした。
ウェイトレス〜おいしい人生のつくりかた ★★★
監督: エイドリアン・シェリー
出演: ケリー・ラッセル
    ネイサン・フィリオン
    シェリル・ハインズ

田舎町のダイナーで働くジェナは、とても美味しいオリジナルのパイを作り出す才能を持つ。 今度開催されるパイのコンテストに出品し、優勝賞金でDV夫から逃げる予定。 ・・・だったのに、突然の妊娠!子供がいては計画台無しだ。 そんなジェナの前に現れたのが、産婦人科医のポマター医師。 二人は急速に接近し・・・・?

++++++++

DVの夫の拘束から逃れて自立する女を描いているのだけど、その割りに、お得意のパイと言う「武器」が、自立のために役立っているようにあまり感じないのが残念でした。
そして、二組のダブル不倫が登場するが、女の立場から見れば不倫に対して同情的になるけれど(ジェナはDV夫に愛情のない結婚生活を送り、オギーの夫はおしめをして寝たきり)相手の男はと言うと、結婚生活にさしたる不満もないのに、成り行きで不倫を楽しんでいるように見える。
たとえばポマターは、ジェナの境遇に同情して、力になりたい・支えになりたいと願っているように、一見見えるんだけど、それが不倫と言う一線を越えた関係になってしまっては、説得力がない。
しかし、この不倫は見ようによっては女が男(快楽)を「踏み台」にしたと言う事かも。
DVは、相手の心をも拘束してしまうと言うので、逃げようと思えばいくらでもチャンスはあるのに、具体的に逃げようとしないジェナの心理状態は理解できるとしても、結局夫に三行半を突きつけるまでが、あまりにもあっけないように感じる。
でも、だからこそ逆に、子どもを産むと言うことが、ジェナに大きな力を与えたのだという事、子どもが生まれた瞬間に「すぱっ!」と音を立ててそれまでを断ち切るかのような潔さが、たしかに心地よいラストです。 そして、もっとよかったのは、ジェナの働くダイナーの老オーナー。彼は最初嫌味でワガママなオーナーとして登場するけれど、だんだんとジェナに対して深い愛情と理解を持っていることが分かってきて、彼の「このままではいけない、幸せになるために正しい行いをしなさい」と言う(はっきりと覚えてません、ゴメンなさい)真摯なアドバイスが胸を打ちました。このアドバイスがあるからこそ、この映画はただの不倫映画にならずに済んだとさえ思う。
ところで、ジェナの心を代弁するように随所に登場する、ちょっと変わった名前のパイたち。おいしそうなのか、そうじゃないのか、よく分からなかった。日本人って、パイって言う食べ物にそこまで馴染みがないのでは?アップルパイぐらいしか私は食べる機会がないです。
特にラストに登場するパイの数々は、ちょっと悪趣味なまでの色彩感覚で、とても食べたいと思えるものじゃないですよね。。。

この映画にヒロインの友だちのドーン役で登場するのがこの映画の監督、エイドリアン・シェリー。なんと殺されてしまったそうです。映画に登場する、彼女の実のお嬢さんは3歳です。なんとも気の毒です。
あるスキャンダルの覚え書き ★★★★☆
監督:リチャード・エアー
出演:ジュディ・デンチ
   ケイト・ブランシェット
   ビル・ナイ


定年退職間近の老教師であるバーバラ、労働者階級の子どもたちが多く通う学校で、冷めた諦めの気持ちで淡々と授業をしている。そこに美術担当の若く美しいシーバと言う女性教師が新任でやってきた。色めき立つ学校で、バーバラはいつしかシーバの心を掴み、二人は友情を育んでいく。
しかしその友情は、シーバのスキャンダラスな行為をバーバラが知る事によって、急速に方向性が変わっていく。二人の関係はどうなっていくのか。

のっけから、とても釣り込まれてしまったのは、バーバラが意外にも乙女チックに「日記さん」に宛てて、毎日日記をつけているからかも。
人の日記を覗くという、背徳の喜びにも似た好奇心を刺激され、またそれを満足させられるような感覚だろうかと思います。それはきっとわたしが下世話な人間だからなのかも、と、ちょっと自己嫌悪に陥り「いけないことだと思うけど、ついつい」みたいなところがある作品だった。
二人の女性の生き方とか、孤独感だとか、その背景だとか、そんなことは私はこの作品に関してはそれほどに思い入れはない。ただ、ひたすらバーバラと言う人間に興味が湧いた。
そのバーバラの本性や「過去の実績」は、だんだんと徐々に現れてくる。その過程がスリリングで、ミステリーでもないのにサスペンスになってて、目が離せない。派手な展開はないのに、じっと魅入ってしまう吸引力のある作品。
ジュディ・ディンチという女優さんは、本当に演技が上手い。上手いなんてものじゃない、まったく画面の中には「バーバラ」という「ババア」しか見えないのです。完璧!あまりにもリアルな「バーバラ」だからこそ、ストーリーに釣り込まれてしまうのは、これは女優さんの演技力の賜物でしょう。
対するケイト・ブランシェットも、縦横無尽というか、変幻自在と言うかその作品でコロコロとイメージが変わる人で、この作品では頼りなげな危うい色気というのが、とてもよく出てたと思う。こんな教師がいきなり学校に着たら、先生や生徒の一人二人はちょっとトチ狂っちゃうでしょう。
でも、いかにも「止めろといわれることほど、止められない」と言う感じで、シーバはそんな自分に酔っていたと思う。孤独だから少年との愛に溺れたとか、人生への疲れをひと時の情熱で忘れようとした、とか、御託を並べられても私には信じられない。彼女は確かに酔っていた。恋に恋するように、「いけないことをしている、いけないと分かっているけどやめられない」という自分に。と、見受けました。

結局、シーバとバーバラそれぞれの「受け入れ先」が彼女たちの幸・不幸、全てを物語っているように思いました。シーバには「それ」があり、バーバラには「それ」しかない。
バーバラが今後どうするか・・・目に見えるようです。薄ら寒い余韻が、後を引くラストも見事でした。
君のためなら千回でも ★★★★
監督: マーク・フォースター
出演:ハリド・アブダラ
   ホマユン・エルシャディ
   ゼギリア・エブラヒミ

1979年、アフガニスタンで平和に暮らしていた少年たちは、伝統行事の「凧揚げ」の日を堺に急速に離れてしまう。ある「事件」がきっかけで。まるで、兄弟のように育ってきたアミールとハッサンだったのに。。。二人の別離は、「事件」を封印したいアミールの企みから決定的になってしまう。 その後、ロシア(ソ連)の侵攻によって、アミールは父親に連れられてパキスタンに脱出する。 20年後、アミールと父親はアメリカにいた。 アフガニスタンという国名を自分の記憶の中で、一番最初に聞いたのが、おそらくこのソ連の侵攻のときだったのではないかと思う。実際には覚えてないんだけど。日本にも影響があったはず。その一つが、モスクワ五輪のボイコットだったのですからね。 それから、「ランボー 怒りのアフガン」とか「タリバン」とか「アルカイダ」とか・・・国際に全く疎い私は、紛争とか民族問題とかまったく難しくてちゃんと理解できないのだけど、ともかくニュースに登場するアフガニスタンと言うと、きな臭い怖いイメージの国です。 それが、映画の冒頭で、とてものどかに子供たちが生き生きと凧揚げなんかをしているシーンを見て、意外な感じがしました。この映画の最大の魅力はこの凧揚げのシーンであると言ってもよいのでは。。いわゆる「ケンカ凧」なのだけど、まるで戦闘機同士の追いつ追われつを見るようなスリリングな迫力に加えて、空を舞う伸びやかな美しさに魅了されました。「自由」の象徴なのかも。タリバンによって禁止されてしまったと言う事からも、そんな気がします。 正直、知らず知らずに予想している展開とは少し感じが違っていて、一言でいうと「座り心地が悪い」映画といえたかも。どこに物語が流れていくのかわからず、まっすぐに行くと思ってたのに、急に分岐ポイントで方向を変えられたレールの上の電車のようなイメージ、と言えば良いかな。後半の展開には面食らってしまうほど。とても怖かった。実際にアフガニスタンはあんな感じなのか。公開処刑とか・・・。あまりにも知らない事ばかりで申し訳ないほどです。 前半と後半(子ども時代と大人時代)では、まるで作品の「色」は違う。だからと言って「つまらなかった」と言うわけではないです。それこそが、ソ連の軍事侵攻を堺にガラリと変わってしまったアフガニスタンの人々の人生と言えるのでしょう。映画にこめられたメッセージ「アフガニスタンに平和を」というアフガニスタン出身の原作者の願いは、充分に伝わりました。 自分たちがのんびりと平和に暮らしていた、同じ時間をこの人たちはこんな風に過ごしていたんだ、人生は決して「平和」が当たり前ではないんだ、どこかで少し何かが違えば、あそこにいるのは自分だったかもしれないという、当然ながらもいつも忘れてしまっている事に、気付かされるのです。 アフガニスタンではいま、凧揚げが復活されているようです。 全世界に平和を。心から念じます。
ノーカントリー ★★★
監督:ジョエル・コーエン
出演:トミー・リー・ジョーンズ
   バビエル・バルデム
   ジョシュ・ブローリン

言わずと知れたアカデミー作品賞受賞作品。 この映画を「おもしろかった?」と訊かれたら「うーん、それほどでも」と答えると思う。「好きなタイプの作品か?」と訊かれれば「特にそんなことはない」と言う。でも「何年かたっても、覚えていると思うか?」と言う問いには「覚えていると思う」と、答えます。そんな作品。
大金をひょんなことから掠め取ってしまった男が、そのお金を持ち帰るように誰かから依頼された殺し屋にしつこく付回され、命を狙われ、そして全てを把握している保安官は、狙われている男の命を守ろうと二人を追う。
見ている間はじわじわ迫る恐怖感と、淡々とした緊迫感が続いて、次はどうなる、二人の男はどうなるんだろう、と見入ってしまうのだけど、映画が終わったとき「え・・・これで終わり?」と、思わずとなりにいる人に尋ねてしまうような。「だからなんだったの」と訊きたいような。。。
つまりは(ここはネタバレか?→)「命を狙われる男を助けたかったのに、助けられなかった保安官の話だったのか」と、ラストでやっと分かった感じ。
アンフィニッシュライフ ★★★★★
監督:ラッセ・ハルストレム
出演:ロバート・レッドフォード(アイナー)
   ジェニファー・ロペス(ジーン)
   モーガン・フリーマン(ミッチ)
   ジョシュ・ルーカス(クレイン)
   ダミアン・ルイス(ゲイリー)
   ベッカ・ガードナー(グリフ)

「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」「ギルバート・グレイプ」「ショコラ」「サイダー・ハウス・ルール」などの名作を手がけた監督、ラッセ・ハルストレム監督、ロバート・レッドフォード主演による作品。

恋人の暴力から逃れるために、元夫の父親(娘グリフの祖父)アイガーのもとへ身を寄せる事にしたジーン。 ふたりを迎え入れてくれたアイガーだったが、息子のグリフィンの死がジーンのせいだとして、未だに心を許さない。
ぎすぎすした空気の中で、それでも始まった奇妙な3人の生活は・・・。

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ひさしぶりに、好みにドンピシャな映画を見ました。ものすごく好きです。これ。
しみじみとした心地よい感動がストレートに伝わってきて、じわじわと涙が沸いてきてはあふれ出るという感じで、見ている最中も見終えてからもずっとその心地よさの中に身を任せている感覚の映画です。ラッセ監督の映画らしく、それ以上でもそれ以下でもない、だからこそ良い、そのことがものすごく安心感を与えてくれるのです。
広大なワイオミングの風景の中で、実直に暮らす人たちの姿がとても素敵に描かれていて、シーンの一つ一つが美しく好きです。
息子の逆縁の不幸に会ったアイガーの悲しみ、そのことで憎まれ許されないことに苦しむジーン、そしてその娘グリフ、くまに襲われ体の自由を失い、今なお痛みに耐えかねてモルヒネのお世話になるモーガン・フリーマン演じるミッチ、それぞれの心の痛みを優しく描きながら、徐々にゆっくりと癒されていく様は、見ているものも優しさに包んでくれます。
傷を癒すのはやっぱり人との関わりの中でしかないのだ。許す事、許される事、それは人の生活の中でなくてはならない。そのことで人はお互いが豊かに幸せになれるのだと、しみじみと心に沁みる物語でした。 口は悪いながらも積年の友情を育むロバート・レッドフォード、モーガン・フリーマンの枯れた感じがいい味で、特にレッドフォード久しぶりの当たり役(私にとって)。