2004年の読書記録*9月 |
主婦でスミマセン/青木るえか★★★★★
角川文庫
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誰しも「自分はダメな主婦である」とか、「私ってなんて怠慢な女なの」なんて思ってる部分があるのではないだろうか。 ちっちっち!まだまだだね!!(多分) 真のダメ主婦、これにあり!! この作品は、世の中のどんな主婦よりもダメな主婦というものの実態が余すことなく描かれた衝撃のドキュメンタリーである。 さあ、これを読んでひれ伏そう。 「わたしなんかがダメ主婦を名乗ってゴメンナサイ」 そんな気持ちになる一冊である…。 最初はね、正直に言うと、自堕落ダメ主婦ぶりが「自慢」気に書いてあるので、「何、この人」と反感すら覚えた。 そんなこと、自慢してどうするの。と…そう思う私は実は心の中では「堂々とそういうことが出来て(書けて?)良いな・・・」と、羨ましかったのかもしれない。 いつの間にか釣り込まれてその強烈なダメパワーの渦に巻き込まれた…。 書いてあることは、すごく「ダメ」な主婦の記録。 でも、表現がうまいの〜! たとえば、まずい物がたまらなく好き、という著者が自分が作った料理の失敗作のことをこんな風に表現してある。 −−−−(略)…それはそれは美味しそうな飴色に炒めあがって「ぜったいにうまいはずだ!」と口に入れたら、いやーな感じにすっぱく、いやーな感じにコクがあり、今までに食べた事の無いような、単純にまずいとは言えないのだがじっとりとまとわりつくようにまずい食べ物となっていた。二口目を口に運ぼうとしても口が開かなかった。体が拒否していた。−−−− どうです?こんなまずそうな表現読んだ事がありますか? でも、フッと思った。 この人って、主婦としてはダメかもしれないけど、人間としての器はたいしたものではないだろうか。 それに比べたら、私は…。 でも、そんなことを言ってても、つまらない!ので、ここで、るえか度チェックを行います!!(笑) 興味ある人はこちらへお越しやす^^ ちなみにこの本はあさみさんからいただきました。興味ある人申し出てください。回します。 |
ナンシー関の記憶スケッチアカデミー/ナンシー関★★★★★
カタログハウス
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この本、説明要りますか? 通販生活の投稿ページのまとめの一冊。 で記憶に頼ってお題の絵を描いて、投稿してもらった一般人の絵にナンシーさんのコメントをつけたものをまとめた本です。 投稿された絵も、めっちゃ可笑しいんだけど、その一つひとつにつけてるナンシーさんのコメントが抱腹絶倒、笑える笑える、おなかよじれるってこのことだよ! そして、記憶についてナンシーさんがまとめた考察というのが、また真に迫ってて笑えるけど、すっごく説得力があってうんうん、首がもげるぐらい頷きました。 特に面白かったのは、絵を描くと「自分化」してしまう現象があるっていうこと。 ある、お年よりの男性が描いたカマキリなんて、顔がそのまんまそのオジサンだもん。 実はマンガでもそう思うんだけど、マンガのキャラとか絵柄ってなんとなくその漫画家さんに似てるンだよね。 池田理代子さんはなんとなくマリーアントワネットみたいだし、いがらしゆみこさんもキャンディみたいな感じだし、紡木たくさんも雰囲気かよちゃんみたいだったしね。 絶対に絵を描くと自分の顔に似てしまうって言うのはありますな。 それと、最後にいとうせいこう氏と押切伸一氏を交えての対談も面白い〜〜!! ともかく、みなさん頭いい〜。こういう本は読んで幸せになるな♪ f丸さんに貸していただきました。ありがとう〜♪ |
イマジン・ノート/槙村さとる★★★★★
集英社
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読みたい読みたい…と思ってて、なかなか読めなかった。きっと槙村さんは全身でぶつかってくる。槙村さんの漫画をよんでりゃわかるよ…疲れそう…。と思って、読みたいけど読めないままズルズル、なんと5年半!!このたびようやく手にとってみた。結果思ったとおり、槙村さんのありのまま、嘘偽りの無い本音のエッセイでパワーと気迫みたいなものにやられた〜。疲れました。でも、心地よい疲れ。スパーリングを適度にこなしたあとの(スパーリングなんてした事は無いのですが…)心地よい疲労感にも似た読後感だ。読んでいる最中はずっと本から目が離せなかった。まさに一気読み!! 小学校高学年のころ母親が家出をして、それからずっと父親との二人暮しが始まった…ということから漫画家デビュー、別マに漫画が掲載され、アンケートで1位を取り(青春志願)初めての連載へ(愛のアランフェス)…と、順を追って作品の裏話を交えながら、槙村さんが飾らず、気取らず、かっこつけたりせずに自分を語っていく。 かっこつけてないけど、かっこいいんだ〜。これが。 それに、「エッセイ」部分と「対談」部分があるんだけど、過去の作品にまつわる思い出なども織り交ぜてのインタビュー形式の部分がまた、秀逸!これはひとえにインタビュアーの寺田薫さんの力量にも寄ると思う!槙村さんもすっごくノリノリで喋ってるのが手にとるように判るし。 リアルタイムで「別マ」を読んでいた読者から見たら「へー」「ほー」の連続で、思わず作品を読み返したくなること間違いなし。 槙村さん、漫画を描いてても「愛」って、どんなものかわからなくて担当に教えられたりして「へぇ〜!」とビックリした事もあったそうな。そんな槙村さんの「屈折した愛の解釈」「生きにくさ」の原因は父親から受けた虐待だったと言う事。自分の中の封印したその記憶を掘り起こし、向かい合い、自分の中で決着をつけ、新しい自分が生まれた、と言うくだりは「感動」以外の何ものでもなかった。 本書が出たのは「イマジン」の連載の途中だったと思うが、イマジンの最終回近くに主人公の有羽にも同じようなエピソードがあった!あの時も感動したが、あの姿は槙村さん自身の姿だったんだ!! 「なりたい自分になるのが人生だよ! いいイメージを持とう!」 はたして、我が家にある槙村作品を引っ張り出してきて読みふけるはめに(苦笑) 漫画を読んだら、もう一度この「イマジン・ノート」を読むつもりである。 |
邂逅の森/熊谷達也★★★★
文藝春秋社
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大正のころ、秋田のマタギの青年、松橋富治は村の有力者の娘と道ならぬ恋に落ちそれが元で村を追われてしまう。マタギとして本格的に生きていこうとしていた矢先にその村を追われた富治の波瀾の人生は…。厳しい自然の中で生きる男の真剣な姿を、自然への畏敬の念をこめて描いた雄大な物語。 かっこいいです!!富治さん!!いい男指数100%です! のっけから、方言だらけの秋田の昔の村の生活様式がおもしろいし、マタギという仕事のなんたるかも描かれていて引き込まれた。面白い。ちょっと「説明文」的なところもあって「へぇ〜〜!」って感じで、ぐいぐい読ませられた。好きなタイプ。 恋をして、それが秘めたる関係で、見つかって村を追われ…その後も波乱万丈で…。先を知りたくてページをめくる手が止まらないという感じであった。 一生懸命に生きようとする冨次を、ある時は暖かく包み込み、またある時はその牙を剥いた「自然」の姿がとっても印象的だ。 そして、冨次を取り巻く人々もまた印象的だ。それぞれの人物に好感が持てたので、よりいっそう物語りに入り込めた。特に好きなのは小次郎とその姉イク。富山の薬売りの喜三郎なんかの使い方もすっごく上手いと思った。読ませる作家さんだよね。 以下ネタばれにつき反転してね↓ 一番心に残るシーンは、冨次が娘の嫁入りに際して、大きな箪笥に上等の着物や陶器ありったけのものを詰め込んで、雪の中を妻のイクと歩いている場面だ。作品中これは回想シーンであるけど、それでもとっても心に残った。 まぁ、妻のイクとの愛情に満ちた関係も言わずもがな。 初めて読んだマタギ小説、これほど面白いとは!! そのワリに何で★4つなの…というと。「それ言っちゃお仕舞いでしょうが!!」と言う感じだが、ちょっと熊が可哀想だったんだけど…。あまりにもリアルな描写ゆえに余計に可哀想になったのかも。 |
死者の鼓動/山田宗樹★★★
角川書店
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「わたしは、やしろ、ようこ。わたしのしんぞうをかえして。わたしはあなたたちにころされた」つくば医大付属病院の教授、神崎のところにかかってきた怪しげな電話。社洋子…彼女は神崎の娘の親友。 神崎の娘・玲香は心臓病を患っている。 移植しなければ3ヶ月以内の命だった。 CCU(重症心臓病患者の救命を目的とした特殊・集約的な治療室)に移った玲香のところに見舞いに来た洋子だったが、猛暑のその日、帰りがけに気分が悪くなり歩道橋の階段から落ちてしまう。そして、意識不明のままつくば医大に搬送されるが、彼女は「心臓」に「○」をつけたドナーカードを持っていた…。 「嫌われ松子の一生」は内容としてはイマイチだったような感じだけど、読者を逸らさないスピード感は確かにあった。ので、この本を借りてみたのだが「松子」よりも前に書かれた作品だということを後で知った。今回も移植医療というテーマをよくこなして、スピード感と臨場感溢れる作品で一気に読ませられた。 もしも、自分の子供がドナーカードを持っていて脳死になったとき、はたして冷静に臓器の提供を承諾できるんだろうか…。動いている心臓を、まだ暖かいその体から取り出す事に異論は無いんだろうか…。脳死判定を受ける我が子(目の中に異物を入れたり、口の中に器具を突っ込んだりして、反射や反応を確かめるのだ)を、見ていられるか否か。いや。私には出来ない。と、本書を読みながら思いました。よしんば出来たとしても後悔に苛まれながらその後を生きるのではないか。 反対に自分の子供が「移植しなければ死ぬ」となったとき、臓器の提供者の出現を願ってしまうだろう。それは誰かが死ぬのを待つ、あるいは願うことである。間違いなくわたしは願うのではないか。人の「死」を。 そして、臓器移植を考える時避けて通れない優先順位。このままでは二人とも死ぬが、移植すればどちらか一人は助かるとしたら、ひとりでも助かる道を選ぶのか…。片方を犠牲にしても最低1人は生き残るという選択…。 いろいろと、問題提起のある読み応えのある作品だった。 |
平面いぬ/乙一★★★
集英社文庫
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その目を見たら石になるという魔物「石の目」★★★ 想像の中から生まれた友情「はじめ」★★★★ アンデルセンのようなオモチャの物語「BLUE」★★★★ 気まぐれで掘ったイレズミの飼い犬「平面いぬ」★★ どっちかというと、表題作は一番、好きではない作品だった。 面白かったのは「はじめ」と「BLUE」の2編だ。 想像の中から、はじめという女の子が本当に生まれ、主人公とその友達の3人で築いていく奇妙な友情。大人にはわからない、子どもだけの世界観を巧みに描いていて、引き込まれた。 ラストまで、先を急がせ、そして最後は… 正直言って泣けました!! 「BLUE」これも、ぬいぐるみの主人公の優しい優しい気持ちに涙。 アンデルセンの「錫の兵隊」を思い出させるようなファンタジックでなおかつ切ない。 2編に共通するのは「いつか、切ない結末が訪れるのではないか?」と思いながら読んだ事。 そして、はじめにしても、BLUEにしても優しい…。 その優しさが切なさをいっそう増した。 |
湘南人肉医/大石圭★★
角川ホラー文庫
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主人公は湘南で雇われ整形外科医。その技術は「ゴッド・ハンド」と言われ、多くの有名人のクライアントを抱える。 しかし、彼は、ある日 患者から吸引した「脂肪」←マンゴープリンのようだそうだ…(汗)を持ち帰り…フライパンで… ううむ、エグさは一級だったけど、主人公の内面や過去がもっとかかれてたら良かったかも。 ただ、えぐいだけだったかな? 「愛犬家連続殺人」と、似てるけど、真実は小説よりも…。なので、ちょっと迫力と真実味に欠けた。 と言っても、真実だったら恐ろしすぎるけどね。 |
午前零時の玄米パン/群ようこ★★★★
角川文庫
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大好きな群さまのなんと、デビューエッセイ。 1984年の作品が2003年に「ついに文庫化」らしい。 なかなか、強烈なインパクトなので、所々記憶のある文章に遭遇する。 エッセイそのものは初めて読むものでも、ネタのリサイクルみたいな事は無いのだろうか?それとも、本当に読んだ事があるのかもしれない。 20年前の作品だけど、やはり面白いのである。時代背景も懐かしく読んだ。「ピラミッド・パワー」(はやったよね)「新鮮」「微笑」(女性週刊誌ね)「ハーレクインロマンス」(一世を風靡したよね…私は未読ですが。これを群さん「西洋版水戸黄門」と言い切る)「プルメリアの伝説」(聖子ちゃんの映画。中井喜一は元祖もっこ○なんだそうだ)アイドルも、男は「しぶがき隊」「少年隊」「新田純一」「宮田恭男」「風見慎吾!!!」で、女は「堀ちえみ」「薬師丸ひろ子」「小泉今日子」「原田知世」なんてね。若い人にはピンと来ないだろうな〜(苦笑) おっと、逆もまた真なり??ピンと来る人は〜…(にやり) |
博士の愛した数式/小川洋子★★★★
新潮社
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主人公の「私」は派遣家政婦。今回は「全向性健忘症」という80分間しか記憶を保てない数学博士のところに派遣された。 「私」とその息子の「ルート」を含めた博士との愛しいような時間を切々と描く、後からジンワリ感動が沸いてくるようなお話だった。 さて、このお話の評判を最初に聞いたときすごく不思議だったのだ。「数学がちりばめられた小説ってどんなだ?」と。 私は数学一切合切ダメな女で、ここに出てくる数式やその説明なんかは、実を言うとちょっと困ってしまった。 でも、ダメながらもわかる範囲では、とても興味深く読めた。「0」の発見がどんなに偉大な事か…とかね。(え?今ごろ?という感じかしら?) 「数学」が物語りの中で確かに一人の登場人物のように生き生きと描かれていて、興味深かった。評判の意味を納得した次第。わたしも、数学がもっと得意であればこの作品ももっともっと楽しめただろうな…と思うと、ちょっと残念だった。 一つ言うなら、博士と未亡人の間に何があったのか…それは読者には関係ないのよ、と突き放された感じがして…。きっとここにも胸が苦しくなるようなエピソードがあるのでしょうね。未亡人の「あなたの事は一生かかっても覚えられないが、私のことは…」という言葉がすごく印象に残った。 終わり方も、夕闇に溶けていく稜線のようにゆったりとしたイメージが残り、 読んだ後、優しく優しくなれそうな物語だった。 ところで、この、「全向性健忘症」という病気、今までもちょくちょく登場してきた。 映画「メメント」もそうだし、本でわたしが読んだ中では、北川歩実「透明な一日」黒田研二「今日を忘れた明日の僕へ」もそうだ。そして、何よりも印象深いのは何年もまえにNHKのドキュメンタリーで放送された、ある男性の物語。興味のある方はclickしてください→コチラ 切ない病気ですよね…。 この本は「Y's Inn」のゆっこさんにお借りしました。ありがとうございました♪ |
死ぬまでにしたい10のこと/ナンシー・キンケイド★★★
祥伝社
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同名映画の原作(原案) 23才のベリンダは癌の宣告を受ける。 そこで、彼女は治療する道を選ばず、死ぬ事を潔く受け入れる。 彼女はさっそく、「死ぬまでにしたい10のこと」と言うリストを作り上げる。 その中には「子供たちに毎日愛してると言う」とかの泣けるようなのもあるんだけど「夫(内縁の夫なんだけど)のほかの男3人と愛し合う」とか「10ポンド痩せてもっと良いヘアスタイルにする」とか、ちょっと「??」な(まぁ、わからないでもないけど)内容の物もある。 映画のほうは感動的だそうで、ヒット作品となったが(私はみていない)原案となった小説のこの主人公に私はちょっと感情移入できにくかったかな? かなりの短編なのと、文体が馴染みにくかった事も原因かと思う。 死ぬまでにやりたいことのリストを作るというと、「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」と言うドイツ映画を思い出す。 あの主人公たちもはたから見るとバカバカしいような項目をリストアップしていたっけ。 本のラストに「あなたの『死ぬまでにしたい10のこと』のリスト」というページがあり、書き込めるようになっている。これ、かなり、難しいです!!! あなたなら?? この本は「PAGEONE」のらむちゃんにお借りしました。ありがとうございました♪ |
図書館の神様/瀬尾まいこ★★★★
マガジンハウス
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熱血バレーボール少女だった主人公の「私=清」は、あることが原因で、部を追われる形となりバレーボールをやめてしまう(やめさせられたと言うべきか)。数年後、教師となり(講師だけど)部活の顧問となってもう一度バレーに携わるはずが、なぜか図書館で「文芸部」の担当となってしまった。 そこにいた唯一の部員は垣内君。 私生活を絡めながら、2人で築き上げていく「文芸部」の一年を描く。 冒頭、読みやすい文章でサクサク読めた。 っが!一体「図書館」はいつ出てくるんだろう?主人公はスポ根少女ではないか…。そう、この意外性がよかった。主人公は文学なんぞには全然興味のないタイプ。 我ら本好きは清の目を通して、本に興味のない人が我らをどう見ているかを知ることができて面白いです(笑) この「清」と文芸部の垣内君との会話もまた、面白い〜!実は主人公、不倫中でちょっとその点好感が持てないかなと思ったんだけど(相手も気に入らない)垣内君相手にぽんぽん飛び出す突飛であまりにも意外な?発想とセリフに笑いの連続。(鼻血とか、さぶ…とか!!)そしてそれを受ける垣内君の反応が実に良い! 清と垣内君が図書館の中で時間を重ね、最後にした事は!!おかしいんだけど、なんだかホロリとさせられる。いいコンビだよ、君たち!!と、声をかけたいくらいだ。 垣内君、最後の演説はいつもわたしも思ってることそのまんま!!こんな風に上手に言葉にはできてなかったけど垣内君の言葉を聞きながら(読みながら)「そうそう!!そうだよそうだよ〜〜!!」と、涙が出る思いだ。(漫画「天才柳沢教授の生活」にも、よく似た表現があり、そのときも感動した)本当に私たちは本が好き。そんな気持ちを再確認できたような…。 清の素敵な弟くんとの前向きなラストは元気が出るようでgood! 思い切りの良い最後の一行も印象的♪ それから、「夢十夜」って読んだ事ないんだけど、是非とも読んでみたくなった。 |
あやめ横丁の人々/宇江佐真理★★★★
講談社
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慎之介は、ある事件を起こして、この「あやめ横丁」に隠れ住むようになった。 身柄を引き取ってくれたのは、岡っ引きの権蔵。家は葉茶屋だ。家族は妻のおたつとその娘の伊呂波。 そこで慎之介は敵の報復を恐れながらも、子どもたちに手習いを教えたりして馴染もうとする。 しかし、あまりにもそこでの人々はいわくのある人物ばかりだった。 こういう時代物って、わたしは自分から進んで「読もう読もう♪」と言う感じではないのだけど、いったん読み始めたら引き込まれるように一気読みしてしまう。宇江佐さんの魅力だろうか。 なにより、実際にその暮らしをしているかのような、また、それを見ているかのようなリアルな描写が、すごい! 宇江佐下町ワールドにタイムスリップ!って感じだ。 主人公の慎之介の目を通して描かれるあやめ横丁の人たち。なんだか胡散臭い人ばかり。でも、どこか憎めないのだ。 ぶらぶらしているわけに行かないからと、子どもたちに手習いを教えるのだが、それがまた慎之介自身の成長を助ける。子どもとのやり取りは微笑ましいが、誤魔化しが利かずダイレクトにぶつかり合う所が印象的。 伊呂波との関係もどうなるのか気になりつつ先を急がせられた。 願わくばハッピーエンドであって欲しかった。 最後があまりに切なくて、こういう終わりはちょっと好きじゃないかな? もちろん救いはあるんだけど…伊呂波がかわいそうだよ〜…。 |
呪怨2/大石圭★★★
角川ホラー文庫
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第一作のインパクトが強いので、その分印象が薄いかも。 時間が行きつ戻りつ、どのエピソードとどのエピソードが時間的に繋がってるのかちょっとわかりにくい部分もあり。 しかし、全体的に「え?なに?なにがどうなったの?」と言うわけのわからなさが却って不気味さを盛り上げているように思う。 第一部でも出てきたけど、カヤコってほんとに不気味!!あのスクラップブックってば、それだけでも充分ホラーだよね。 死ぬ瞬間の「痛み」の描写…これは、ホラーとしては反則かもしれないけど、痛い描写はそれだけで身がすくむ思いなので、これまた「怖さ」を盛り上げてくれる。 でも、やっぱりこういうのはわたしは映画や漫画で視覚的に楽しみたい。わたしの想像力を上回る怖さで、わたしをビビらせて!!って感じなのだった。 ぴょんさまからお借りしました。ありがとうございました♪ |
2004年の読書記録*8月 |
犯人に告ぐ/雫井脩介★★★★
双葉社
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神奈川県警の警視、巻島(通称ヤングマン)は、ある誘拐事件を担当する。 検挙には自身があったのに、あと一歩の所で犯人を取り逃がした責任をマスコミに追及されるうち、巻島は「切れ」てしまい、その結果左遷させられてしまう。 数年後、また、幼児誘拐連続猟奇殺人事件が起きるが…。 こんなにも前半と後半の面白みが違って感じる小説もあんまりないのでは? 雫井さんといえば「火の粉」の印象が強く、今回のストーリー展開、最初の方(第一章)ではもたつきというか、丁寧すぎてスピード感を感じられず「これが雫井さん?」と言う感じだった。 でも、左遷させられたあと再登場した主人公の斜に構えたふてぶてしさがとっても魅力的に写ったのと、その巻島を取り巻く人間環境(良くも悪くも)が面白くて、後半は一気読み。 もたついたと思った前半は、その後の展開で人間関係軋轢など疑問を感じずに読み進むための、大事な前置きだったのだと納得できた。あの前半あっての後半だったのだ。 キーマンはやはり「植草」だろうか。こういう人はある意味好きです。重要人物。 ラストは涙! これも、前半あっての「涙」ですね!! それにしても、巻島って、超ロン毛で一昔前のアイドルがおなんだって。 俳優さんで言うと誰だろうか?ロン毛の似合う中年(52〜3歳)…高見沢俊彦?(笑) ぴょんちゃんからお借りしました。ありがとう♪ |
ダレン・シャン6.7.8.9/ダレン・シャン★★★★ |
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6の感想を書けば5のネタばれに、7の感想を書けば6のネタばれに…となるので、あまり詳しくはかけないけど…。 4冊一気読みしてしまった。面白い!! 9巻も気になるところで終わってます。 そして涙…。 「うそやろ??嘘って言って!!」って感じ。 「復活やろ?復活するんだよね!!??」って感じ。 え?誰がって? それは言えません!!(涙) 10も早く読みたいな! |
ケストナー・ナチスに抵抗し続けた作家 /クラウス・コードン★★★★★
偕成社
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少年向けの伝記シリーズ(ドイツ児童文学賞受賞)です。 一般に、ケストナーというと子供向けの作家という印象が強いのではないかと思うんだけど、この人の中で「児童文学作家」と言うのは、ホンの一部分なのだ。詩人であり、脚本家であり、大人向けの小説も沢山書き、評論、エッセイと、「六つの顔を持つ男」という異名があるほど多才な人だったのだ。 このひとの特異な点は、ナチスドイツの中において、ヒットラーに睨まれながら、言論の自由をうばわれながら、そのうえ命の危機に直面しながらも、それでも亡命せずにドイツ国内に留まり、できうる限りの表現でナチスの非難をしながら、戦争の始まりと終わりをその目で見つづけたということだろうか。 ケストナー自身の人生も読み応えがあったけど、その時代背景もとっても丁寧に描かれていた。 ドイツにどのようにファシズムが出現したか、ナチスがどうやって台頭してきたか、国民のあり方、思想はどうであったか…そして、戦争のあともドイツが分割され東西冷戦の中でそれぞれがどういった位置付けとなったか…などなど、ケストナーのその時点での作品の中の言葉から掘り起こし、ケストナーの目を通して、とっても判りやすく描いてあって面白かった! ケストナーが、その時その時でどう感じ、どう言ったか、書いたか、それを読むにつけケストナーのすばらしさが浮き彫りになる。 わたしが関心を持った事の一つに、ケストナーのお父さんのことがある。 ケストナーは実は!超マザコンだったのだ! 密着母子の傍らで、父親の存在感は殆どなかった。 ケストナーの両親はうまく行ってなくて、ケストナーの実の父親は別に居たのだ。ケストナーは不倫の子、ということになる。 マザコンのケストナーは、母親が愛せない父親を自分も嫌ったようだ。 それでも、この息子を父親は父親なりに愛しぬき、不和であった(自分を裏切りさえした)妻の晩年はかいがいしい介護をしたらしい。 母と子の密着振りは「おいおい、マジですか?」と言う感じだったけど、おとうさん、尊敬しました。 |
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