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嗅覚異常
北川歩美
祥伝社文庫の15周年記念の書き下ろしシリーズ。
「長すぎない、短すぎない、中編小説のたのしみ」
と言うのがテーマなので、たしかに中編小説ですが、
やはり個人的には長編のほうが好きです。
中篇って、短編のような小気味よさとか、長編のようなじっくり読む感じとかがなくて
ものたりないです。
北川作品の多くはくどいほどの理屈を延々と述べてからラストあっといわせるさ作風だと思ってるので
この話は正直物足りなかったですね。
タイトルどおり、嗅覚異常の人を巡る事件です。
多分書くほうも中篇って難しいような気がする。
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puzzle
恩田陸
周囲2kmの小さな島、コンクリートの堤防に囲まれた無機質な廃墟の無人島で
3つの死体が発見された。
死亡時刻はほとんど同じ、なのに
遺体が発見された場所も、死亡原因もぜんぜん違う。
3人の死につながりはあるのか?
それとも単なる事故なのか?
その島に2人の検事が上陸した。
その二人の会話でストーリーは展開していく。
なぞは解き明かされるのか?
これも、「嗅覚異常」と同じく祥伝社文庫の一冊。
だけどこちらは、中篇が小気味よくまとまってる気がしました。
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美女入門partU
林真理子
「あなたでも、こんな風にすれば美人になれるのよ」という内容なのかと思ったけど
実は、林本人が美女になるべく悪戦苦闘する様子が描かれているんです。
ダイエットの話、ブランド品の話、業界人の裏話まで、いやみな感じじゃなく
書かれています。
中でもおかしかったのは、「もしも、自分が神田うのの顔とボディを持っていたらぜひしたいこと」
が8つほどまとめられていたけど、笑ってしまった。
この人は他人の誉め方がうまいですね。
おもねることも、ひがむこともなくきちんと誉めてると思う。
それがこの本が気持ちよく読めるポイントだと思う。
それにしても、パーティーでイブニングドレスを着るときは、、、とか、
夜、少し高級なレストランでは、照明にも気を使って、シルクやラメを着ること、
なんて話は、納得するものの「やっぱ、世界が違うよなー」
とあきらめてしまうあたりが、わたしが美女ではないゆえんなのかね。(笑)
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もう一人の私
北川歩美
北川氏初の短編集(多分)表題どおり「もう一人の自分」がテーマのオムニバス。
ある青年は自分とそっくりな従兄弟と入れ替わって、二役するという生活を送る羽目になる。
またある少年は、生まれてすぐ、ベッドを間違えられたために、赤の他人に育てられた、
つまり本来の自分は、もっと別のところで別の人生を送るはずっだったのだ、と教えられて戸惑う。
またある少年は、ネットの世界で全然違う自分を演出する。もう一人の自分を作り出したのだ。
こんな風に、それぞれがまったく違う形で自分が二重に存在するという設定で、その
あり方がバラエティに富んでいてお見事。そして、主人公だけでなく
関わる人物たちも、実は。。。。。という設定もやはりお見事。
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バトルロワイヤル
高見広春
なんと、瀬戸内海と言う穏やかな場所ですさまじい殺し合いが行われるお話。
瀬戸内のある小島で、ある中学生(3年B組)一クラスが、残りひとりになるまで
お互いに殺しあうのだ。なぜかと言うと、それは政府の決めたプログラムだから。
そんな馬鹿な!と思うけど、この物語の舞台は、日本であって日本でない。
多分明治くらいから今の日本とは、まったく別の発展(?)をとげてきた
まったく別の日本。おそらくパラレルワールド。
それにしても、なんでクラスメートが
お互い殺しあわなければならないのか。読んでて胸が悪くなるときもあった。
読むのを止めようかと思うときもあったけど、主人公の男の子と、それを取り巻く仲間達が
とても魅力的だったし、こんな状況でも信じあうことのできるこの子達の行く末が気になって
読んだ。それなりに、その子たちが死んでいく時はあまりに切なかった。
感情移入しすぎると辛すぎる小説だった。
こういうのがとっても好きな人は
きっと、綾辻行人の殺人鬼シリーズなんか読むんだろうなー。
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コンセント
田口ランディ
「私」の兄が腐り果てた死体となって発見された。そばにはコンセントにつながれた
掃除機がごく自然においてある。まるで掃除をしようとして、ふと死んでしまったようだ。
兄は引きこもりの末に生きることをやめ、緩慢な自殺を遂げたのだ。
兄の死後、感覚の鋭くなった私は、人の死臭を感じたり、死んだはずの兄の姿を見たりする。
兄が私に言いたいこと、つながれたコンセントのメッセージ。それを知りたい私は
大学時代の恩師であり、愛人でもあった教授のカウンセリングをうけるうち、
自分の中の不思議な能力に目覚めていく。
前半の心理的な葛藤の部分は共感できたけど、後半シャーマニズムにまで話が及んでくると
私には少し無理があったけど、全編に渡り登場する「コンセント」というキーワードは
上手く生きていて、最後まで読むと「なるほど」と思うのです。
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負けない私
群ようこ
またまた群さんの本読んじゃいました。。おもしろいんですもん!!!
短編集です。「小さい胸」では、顔立ちも、雰囲気も地味なのに、胸だけがFカップも
あり、それが悩みの種である女のこの話。学校時代は「ホルスタイン」と呼ばれ
仕事をもってからは、男の視線に悩まされ、女の同僚からは妬まれる。
何にもいい事がないんだと嘆いてる。私には無縁の悩みながら、思わず
(゚ー゚)(。_。)(゚-゚)(。_。)ウンウンわかる!!とうなずいてしまいます。(笑)
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ブレイン・バレー上・下
瀬名秀明
とにかく難しいよ!!私の頭では理解できません!!御免なさい!!
万年赤点だった「理科」の授業よりもっと難しかった。。。。
それでも一応最後まで読んだけど。。。読んだというより目を通したというほうが
あたってるね。この話の言いたいことは「神は科学を超えるか?」ということ?
ちがう?とにかく難しい!!!それだけ!!(笑)
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GO!
金城一紀
人間の先祖は北京原人じゃなくて、アフリカ生まれの猿人だって知ってる?
それらは,アフリカから中近東を経てアジアに渡りシベリアから日本へ(縄文人)
そしてなおアラスカへ渡りアメリカ大陸へ渡りアメリカをずっと南下して
アンデスのインディオとなったらしい。だから、アイヌ人と,アンデスのインディオとは
遺伝子的に殆ど同じ人種といえるのだそうだ。なぜ、10万年も20万年も旅をして
アメリカの最果てまで行かなければならなかったのかな?
その答えを、この物語の主人公はこういう。「世界の果てが見たかったんだよ、きっと」
人種とか,民族とか、国とか,国籍とか、、、、、、、そんなことを考えさせられるけど
ちっともじめじめしてない。でもただ,明るいだけの小説じゃない。
みんな,読んで!!!こんな小説こそ読もうよ!!!この本を薦めてくれた人に感謝したい。
それぐらい素敵な作品でした。2001年の「私の3冊」にはいること間違いなし!!(早い?)
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カルトの子
米本和弘
カルト、、ここでは、オウム真理教、統一教会、エホバの証人、ヤマギシ、などについて、
入会した大人ではなく、その人たちの子供、つまり2世について書かれています。
自分の意志ではないのにいつの間にかその信者になっていた、、、、親がたとえ間違いに気付いて
脱会しても、一度傷ついた子供の心はなかなか治らない。
全部の団体に共通して言えるのは、子供が虐待されているということ。
暴力だけじゃなく、放置や精神的虐待、色々な種類の虐待がこの本の中では
複雑に絡み合って、子供を傷つけていると指摘します。
でもそれはこの本の中のカルト団体に入会した親だけの問題じゃなく
どの親も自分を振り返る必要があるんじゃない?って教えてるように感じます。
カルト=他人事と思うだけではいけないような気がします。
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