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2001年こんな本読んでます page 8



量刑  夏樹静子 光文社

罪を犯した人間の、量刑を決めていく過程を描いた物語。
感じとしては「13階段」に似ていたようにも思うが、こちらは一貫して量刑を決める裁判官の視点にたっている。こんな風に刑は確定していくのか・・・というのはちょっとした驚きだった。
扱われる事件は、ある女性が交通事故を起こしてしまうのだが、ある事情により誠実な対応ができないうえに、取り乱し結果的に被害者を死なせてしまう。そこに、殺意があったのかなかったのかを争点に裁判が行われる中、「女性が隠しつづける“事情”」を巡って、事件の上に事件が起きていくのだ。
今日、量刑が軽すぎる・・・それは、人の命が軽く扱われる事に他ならない
と日ごろ思っている裁判官の考えは、強い説得力があり、「13階段」とあわせても「量刑」の事を今までになく考えさせられた。





神のふたつの貌  貫井徳郎  文藝春秋

くらいくらい暗い話だった・・・。ちょっと全身の力が萎えるような・・(苦笑)
主人公の早乙女(なぜか、名字)は、牧師の子どもだ。
ずーっと「神とはなにか?なぜ、助けてくれないのか?」などと言う事を考えていて、本文も大半が早乙女の神に対する思いが描かれていてちょっと重すぎた感じ。
しかも、第一章は早乙女の子供時代なんだけど、会話の書き方が変。
「ーー」ではなすのは相手だけで本人の早乙女は「ーー」の意思表示じゃなく、作者からの説明文で喋った内容が書かれてる。慣れるまで違和感があった。
どろどろと、怖い話なんだけど、神がどうしたこうしたとかいわれたので辛気臭い感じがして、いまいちのめり込めなかった。
ちょっとしたトリックも貫井さんらしい・・とは思うけど・・
でも、第三章ででてきた女性信者の母親との関係はなかなか興味深かった。婦人雑誌の読者の手記などでたまに読む見たいな感じで、リアルな感じだった。